更生債権に関する訴訟が更生手続開始前に係属した場合において,当該訴訟が会社更生法156条又は158条の規定により受継されることなく終了したときは,当該訴訟に係る訴訟費用請求権は,更生債権に当たる。
更生債権に関する訴訟が更生手続開始前に係属し受継されることなく終了した場合における当該訴訟に係る訴訟費用請求権の更生債権該当性
民訴法第1編第4章第1節 訴訟費用の負担,会社更生法2条8項
判旨
更生手続開始前に係属した更生債権に関する訴訟が、会社更生法上の受継がされることなく終了した場合、当該訴訟に係る訴訟費用請求権は「更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」(会社更生法2条8項)として更生債権に当たる。
問題の所在(論点)
更生手続開始前に提起された本案訴訟(更生債権に関する訴訟)が、更生計画認可決定等により受継されずに当然終了した場合、当該訴訟費用請求権は更生債権(会社更生法2条8項)に当たるか。請求権の具体的な内容が開始後の訴訟終了時に確定するとしても、「開始前の原因」に基づくといえるかが問題となる。
規範
1. 訴訟費用請求権は、民事訴訟法の規定に従って相手方当事者に対し発生するものである以上、具体的な内容が更生手続開始後に確定する場合であっても、開始前に当該訴訟費用が生じていれば、その発生の基礎となる事実関係は開始前に発生しているといえる。 2. したがって、当該請求権は「更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」に該当する。 3. 以上より、更生債権に関する訴訟が開始前に係属し、受継されることなく終了したときは、当該訴訟費用請求権は更生債権に当たる。
重要事実
1. 抗告人は、更生会社Aに対し、更生手続開始決定(本件開始決定)前に過払金返還請求訴訟を提起した。 2. Aの更生手続が開始し、抗告人は本案の過払金については更生債権として届け出たが、訴訟費用請求権については届け出なかった。 3. 更生計画認可決定により、本案訴訟は受継されることなく当然に終了した。 4. 抗告人は、本案訴訟終了後、訴訟費用の負担を命ずる決定の申立てを行った。
事件番号: 平成19(許)7 / 裁判年月日: 平成19年12月4日 / 結論: 棄却
民事訴訟において,訴訟上の救助の決定を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合には,同決定は当然にその効力を失い,裁判所は,同決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく,同決定を受けた者に対し,猶予した費用の支払を命ずることができる。
あてはめ
1. 本件訴訟費用請求権は、更生債権である過払金返還請求に関する訴訟から生じたものである。 2. 当該訴訟は本件開始決定前に係属しており、費用の発生原因となる訴訟活動(基礎的事実)は開始前に存在しているといえる。ゆえに、「開始前の原因」に基づく請求権として更生債権に該当する。 3. 本件訴訟費用請求権は更生債権であるにもかかわらず、期間内に届出がされていない。 4. 更生計画認可決定がなされたことにより、会社更生法204条1項本文の規定により、Aは届出のない本件債権についてその責任を免れたと評価される。
結論
本件訴訟費用請求権は更生債権に当たり、認可決定により免責されているため、訴訟費用負担を命ずる決定の申立ては利益を欠き、却下されるべきである。
実務上の射程
更生債権に関する訴訟の訴訟費用が、共益債権(会社更生法127条等)や開始後債権ではなく、原則として更生債権に含まれることを明示した。これにより、訴訟係属中に相手方が更生手続に入った場合、債権者は本体の債権のみならず訴訟費用についても更生債権として届け出なければ、免責の不利益を被ることになる。
事件番号: 平成28(許)40 / 裁判年月日: 平成29年9月5日 / 結論: 破棄差戻
訴訟費用のうち一定割合を受救助者(訴訟上の救助の決定を受けた者)の負担とし,その余を相手方当事者の負担とする旨の裁判が確定した後,訴訟費用の負担の額を定める処分を求める申立てがされる前に,裁判所が受救助者に猶予した費用につき当該相手方当事者に対して民訴法85条前段の費用の取立てをすることができる額を定める場合において,…
事件番号: 平成26(許)19 / 裁判年月日: 平成26年11月27日 / 結論: 棄却
当事者が準備書面の直送をするためにした支出については,民事訴訟費用等に関する法律2条2号の規定は類推適用されない。
事件番号: 平成16(行フ)4 / 裁判年月日: 平成16年7月13日 / 結論: 棄却
訴訟上の救助の決定に対し,訴訟の相手方当事者は,即時抗告をすることができる。 (反対意見がある。)
事件番号: 平成24(許)15 / 裁判年月日: 平成25年4月26日 / 結論: 破棄自判
1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たる。 2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保…