戸籍法49条2項1号の規定のうち,出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分は,憲法14条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
戸籍法49条2項1号の規定のうち出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める部分と憲法14条1項
憲法14条1項,戸籍法49条2項1号
判旨
戸籍法49条2項1号のうち、出生届に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める規定(本件規定)は、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
出生届に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと定める戸籍法49条2項1号(本件規定)は、婚外子に対する不合理な差別として憲法14条1項に違反するか。
規範
憲法14条1項は不合理な差別を禁止する趣旨である。出生届は出生の事実を報告するものであり、身分上の地位は民法の規定により決せられる。本件規定が民法等の身分関係や戸籍処理上の差異を前提に、市町村長の事務処理の便宜に資する目的で設けられ、かつ記載がなくても受理や職権記載が可能であるなど、子の法的地位に直接差異をもたらすものでない場合には、当該差別的取扱いに合理性があるものとして合憲と解される。
重要事実
事実婚関係にある上告人父母の間で上告人子が出生した。父が上告人子の出生届を提出する際、嫡出子・非嫡出子の別を空欄にしたため、区長は受理を拒否した。その結果、長期間にわたり戸籍・住民票が作成されず、上告人らは不作為の違法を理由に国家賠償を求めた。なお、訴訟継続中に法務省通知に基づき、区長の催告を経て最終的に職権で戸籍が編製され、住民票も作成された。上告人らは、本件規定が非嫡出子に対する差別であり違憲であると主張した。
事件番号: 平成20(行ヒ)35 / 裁判年月日: 平成21年4月17日 / 結論: その他
1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことは,(1…
あてはめ
まず、子の身分関係(氏、戸籍、父子関係等)は法律婚主義を採る民法によって定まり、本件規定自体が法的地位に差異を生じさせるものではない。次に、届書の開示要件は戸籍より厳格であり、第三者に内容が容易に知られる状態とはいえない。また、市町村長が他の資料で確認可能だとしても、届出人に記載を求めることは事務処理の便宜に資する。さらに、「嫡出でない子」という用語も民法等の文言を反映した事務的呼称にすぎない。したがって、本件規定は事務処理の便宜という合理的な目的に基づくものであり、不合理な差別とはいえない。
結論
本件規定は憲法14条1項に違反しない。したがって、受理拒否や立法不作為を理由とする上告人らの請求は棄却される。
実務上の射程
出生届の記載事項という手続的義務が、直ちに実体法上の差別やプライバシー侵害を構成するわけではないことを示し、事務処理の便宜に基づく制度設計の裁量を広く認めた。一方で、補足意見では無戸籍状態を回避するための制度見直しの必要性にも言及されている。
事件番号: 昭和54(オ)149 / 裁判年月日: 昭和54年6月21日 / 結論: 棄却
法律上の父子関係は認知によつてはじめて発生するものと定めることは憲法一三条にも一四条一項にも違反しない。
事件番号: 平成7(行ツ)116 / 裁判年月日: 平成11年1月21日 / 結論: 棄却
一 市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 二 市長が住民票に非嫡出子の世帯主との続柄を「子」と記載した行為は、住民基本台帳の記載方法等に関して国が定めた右行為当時の住民基本台帳事務処理要領に、世帯主の嫡出子の続柄は「長男」、「二女」等と、非嫡出子のそれは「子」と記…