被害者5名をけん銃で射殺した等の事案につき死刑の量刑が維持された事例(入間の組長ら5人射殺事件)
判旨
被告人が暴力団幹部5名を射殺した事案において、死刑の適用が妥当であると判断された事例(いわゆる永山基準の枠組みを踏襲)。
問題の所在(論点)
死刑選択の許容性(刑法11条、刑訴法411条等)。特に、被害者側の落ち度(殺害計画の存否)や自首等の有利な事情がある場合に、死刑を維持することが罪刑の均衡に照らして相当といえるか。
規範
死刑の選択については、犯罪の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に限り、許される。
重要事実
暴力団幹部である被告人は、住宅街にある事務所において、所持していた拳銃で同組織の幹部5名を次々と射殺した。動機について被告人は、被害者らによる自らの殺害計画が切迫していたため先手を取ったと主張する。被告人は中学卒業後から暴力団活動に従事し、殺人未遂等を含む相当数の前科があった。一方で、犯行直後に自首し、公判では一貫して事実を認めていた。
あてはめ
まず、5名という多数の生命を奪った結果は極めて重大であり、計画的かつ残虐な態様、地域社会への衝撃に鑑み、罪質は誠に悪い。被告人の経歴や前科からは規範意識の鈍麻が顕著である。次に、被告人が主張する「被害者側の殺害計画」が仮に実在したとしても、適法な手段で回避すべきであり、先制攻撃による解決は是認できず、犯行を正当化する事情とはならない。そして、自首や事実の認容といった酌むべき事情を最大限考慮しても、刑事責任はあまりに重大であるといえる。
結論
事件番号: 平成18(あ)2156 / 裁判年月日: 平成21年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団間の抗争に端を発し、一般客のいるレストランで拳銃を用いて2名を殺害した事案において、犯行の計画性、残忍性、一般市民を巻き込む危険性の高さ等の諸事情を考慮し、死刑判決を維持した。 第1 事案の概要:暴力団構成員である被告人は、他団体からの高額な金銭要求に対し、組織の面目を保つため相手方の殺害を…
被告人の刑事責任は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判決は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
実務上の射程
被害者が5名にのぼる場合、被告人に自首や被害者側の原因等の有利な事情が一定程度存在したとしても、犯行の残虐性や結果の重大性がそれらを大きく上回り、死刑選択が肯定される可能性が極めて高いことを示した。
事件番号: 平成18(あ)417 / 裁判年月日: 平成20年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、事案の性質、犯行の態様・結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って許される。 第1 事案の概要:被告人は、暴力団…
事件番号: 平成17(あ)1101 / 裁判年月日: 平成19年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、永山基準(最高裁昭和58年判決)に基づき、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮すべきである。暴力団組織を利用した計画的・組織的な殺害行為であり、被告人が主導的な立場で冷酷かつ非情に実行を命じた本件にお…
事件番号: 平成20(あ)2064 / 裁判年月日: 平成23年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団間の抗争に端を発し、一般客の存在する飲食店において敢行された射殺事件について、被告人が謀議に積極的に加わり実行役も果たしている場合、犯行後の自首や謝罪等の情状を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:暴力団組長である被告人は、他団体との金銭トラブルを端に、相手方を「皆殺しに…
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…