死刑の量刑が維持された事例(千葉ファミレス銃殺事件)
判旨
暴力団間の抗争に端を発し、一般客の存在する飲食店において敢行された射殺事件について、被告人が謀議に積極的に加わり実行役も果たしている場合、犯行後の自首や謝罪等の情状を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
刑法199条に基づく死刑の選択が、被告人の有利な情状(自首、反省、被害者側の不当な要求)を考慮してもなお許容されるか。
規範
死刑選択の可否は、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗さ・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、併せて考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ない場合に認められる(永山基準参照)。
重要事実
暴力団組長である被告人は、他団体との金銭トラブルを端に、相手方を「皆殺しにする」と決意。営業中のファミリーレストランに相手方2名を誘い出し、一般客17名や店員がいる中で至近距離から拳銃を連射。逃げる両名を追いかけて店外でも発砲し殺害した。弾丸の一部は一般客のテーブル付近に着弾した。被告人は謀議に積極参加し、自ら実行役を担った。犯行後、銃の所在を通報し、約1年10ヶ月後に自首。遺族への謝罪と賠償の申出を行っている。
あてはめ
まず、動機は暴力団の体面維持という特有の発想に基づくもので酌量の余地がない。態様は、計画的かつ強固な殺意に基づく残忍なものである。結果の重大性については、2名の生命を奪っただけでなく、多数の一般客が存在する公衆の場で敢行され、無関係な市民を巻き添えにする危険性が極めて高かった点に鑑み、社会的衝撃は甚大である。被告人の役割も実行役として中核的である。これに対し、被害者側の不当要求という誘因、被告人の自首、謝罪、賠償の意思といった有利な事情を十分に考慮しても、刑事責任は極めて重大というべきである。
事件番号: 平成18(あ)2156 / 裁判年月日: 平成21年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団間の抗争に端を発し、一般客のいるレストランで拳銃を用いて2名を殺害した事案において、犯行の計画性、残忍性、一般市民を巻き込む危険性の高さ等の諸事情を考慮し、死刑判決を維持した。 第1 事案の概要:暴力団構成員である被告人は、他団体からの高額な金銭要求に対し、組織の面目を保つため相手方の殺害を…
結論
被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判断は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
本件は、被害者が2名であっても、犯行場所が公共の場であり一般市民への危険性が著しく高い場合には、社会的影響や犯行態様の悪質さが死刑選択を正当化する重要な要素となることを示した。
事件番号: 平成18(あ)2339 / 裁判年月日: 平成20年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が暴力団幹部5名を射殺した事案において、死刑の適用が妥当であると判断された事例(いわゆる永山基準の枠組みを踏襲)。 第1 事案の概要:暴力団幹部である被告人は、住宅街にある事務所において、所持していた拳銃で同組織の幹部5名を次々と射殺した。動機について被告人は、被害者らによる自らの殺害計画が…
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…
事件番号: 平成18(あ)417 / 裁判年月日: 平成20年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、事案の性質、犯行の態様・結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って許される。 第1 事案の概要:被告人は、暴力団…
事件番号: 平成21(あ)68 / 裁判年月日: 平成24年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団組長による3件の殺人等につき、組織的な犯行であること、3名の生命を奪った結果の重大性、首謀者としての責任の重さを重視し、被害者遺族への被害弁済等の有利な事情を最大限考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:暴力団組長である被告人は、配下組員と共謀し、(1)保険金詐欺の口封じ、…