死刑の量刑が維持された事例(千葉のファミリーレストラン店内等における射殺事件)
判旨
暴力団間の抗争に端を発し、一般客のいるレストランで拳銃を用いて2名を殺害した事案において、犯行の計画性、残忍性、一般市民を巻き込む危険性の高さ等の諸事情を考慮し、死刑判決を維持した。
問題の所在(論点)
死刑の適用が妥当とされるための判断枠組み、特に暴力団による拳銃射殺事件における犯行態様の危険性や社会的影響の評価が問題となる。
規範
死刑の適用については、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考察し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ない場合に認められる(永山基準)。
重要事実
暴力団構成員である被告人は、他団体からの高額な金銭要求に対し、組織の面目を保つため相手方の殺害を計画。営業中のファミリーレストランにて、一般客22名が存在する中、至近距離から拳銃で他団体の組長ら2名を射殺した。弾丸の一部は一般客のテーブルや仕切りガラスにも着弾していた。被告人は自ら実行役を申し出るなど、犯行において中心的役割を果たした。
あてはめ
動機は暴力団特有の面目保持であり酌量の余地がない。犯行態様は、偽って呼び出し至近距離から発砲、逃走後も追尾して発砲を続けるなど計画的かつ残忍である。特に、多数の一般客がいるレストランで敢行され、弾丸が客席に着弾するなど無関係な市民を巻き込む危険性が極めて高かった事実は、社会的不安を増大させる重大な要素である。2名の生命を奪った結果は重く、実行役を志願した被告人の役割も主体的である。
結論
事件番号: 平成20(あ)2064 / 裁判年月日: 平成23年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団間の抗争に端を発し、一般客の存在する飲食店において敢行された射殺事件について、被告人が謀議に積極的に加わり実行役も果たしている場合、犯行後の自首や謝罪等の情状を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:暴力団組長である被告人は、他団体との金銭トラブルを端に、相手方を「皆殺しに…
被告人の反省等の情状を考慮しても、刑事責任は極めて重大であり、死刑を是認せざるを得ない。
実務上の射程
死刑選択の可否が争われる事案における考慮要素の具体化として機能する。特に、被害者が暴力団関係者であっても、犯行場所が公共の場であり、一般市民への具体的な危険が生じている場合には、社会的影響が極めて大きいとして死刑選択を正当化する重要な要素となる。
事件番号: 平成18(あ)2339 / 裁判年月日: 平成20年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が暴力団幹部5名を射殺した事案において、死刑の適用が妥当であると判断された事例(いわゆる永山基準の枠組みを踏襲)。 第1 事案の概要:暴力団幹部である被告人は、住宅街にある事務所において、所持していた拳銃で同組織の幹部5名を次々と射殺した。動機について被告人は、被害者らによる自らの殺害計画が…
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…
事件番号: 平成21(あ)68 / 裁判年月日: 平成24年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団組長による3件の殺人等につき、組織的な犯行であること、3名の生命を奪った結果の重大性、首謀者としての責任の重さを重視し、被害者遺族への被害弁済等の有利な事情を最大限考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:暴力団組長である被告人は、配下組員と共謀し、(1)保険金詐欺の口封じ、…
事件番号: 平成17(あ)1101 / 裁判年月日: 平成19年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、永山基準(最高裁昭和58年判決)に基づき、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮すべきである。暴力団組織を利用した計画的・組織的な殺害行為であり、被告人が主導的な立場で冷酷かつ非情に実行を命じた本件にお…