土地区画整理事業の施行地区内の土地を購入した買主が売買後に土地区画整理組合から賦課金を課された場合において,土地区画整理組合が組合員に賦課金を課する旨を総代会において決議するに至ったのは,上記売買後に開始された保留地の分譲が芳しくなかったためであり,上記売買の当時,土地区画整理組合において組合員に賦課金を課することが具体的に予定されていたことは全くうかがわれないこと,上記決議が上記売買から数年も経過した後にされたことなど判示の事情の下においては,上記売買の当時,買主が賦課金を課される可能性が存在していたことをもって,上記土地に民法570条にいう瑕疵があるとはいえない。
土地区画整理事業の施行地区内の土地を購入した買主が売買後に土地区画整理組合から賦課金を課された場合において,上記売買の当時,買主が賦課金を課される可能性が存在していたことをもって,上記土地に民法570条にいう瑕疵があるとはいえないとされた事例
民法570条,土地区画整理法40条1項
判旨
土地区画整理事業の施行地区内の土地売買において、売買後に組合から賦課金を課される一般的・抽象的可能性が存在していたとしても、それが具体性を帯びていない限り、民法570条(現562条以下)にいう瑕疵には当たらない。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業の施行地区内の土地売買において、将来賦課金を課される可能性が存在していたことが、民法570条(瑕疵担保責任)にいう「瑕疵」に該当するか。
規範
民法570条(現行法の契約不適合)にいう「瑕疵」とは、売買物件がその種類、品質又は数量に関して契約の内容と適合しないことをいう。土地区画整理事業の施行地区内の土地売買においては、法40条1項に基づき将来賦課金を課される一般的・抽象的可能性は常に存在する。したがって、当該可能性が単なる抽象的なものにとどまる場合には、当該土地が売買において予定されていた品質・性能を欠いているとはいえず、瑕疵には当たらないと解すべきである。瑕疵に当たるためには、売買当時において、賦課金の発生が具体性を帯びていたといえる状況が必要である。
事件番号: 平成21(受)17 / 裁判年月日: 平成22年6月1日 / 結論: 破棄自判
売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことは,(1)上記売買契約締結当時の取引観念上,ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず,(2)上記売買契約の当事者間において,上記土地が備えるべ…
重要事実
上告人らは平成9年から10年にかけ、土地区画整理事業の施行地区内にある本件各土地を被上告人らに売却した。売買当時、事業の保留地分譲は開始されておらず、組合員への賦課金徴収も具体的に予定されていなかった。しかし、分譲の不振から、売買から数年経過した平成13年に賦課金徴収が議決され、組合員である被上告人らが賦課金を請求された。被上告人らは、売買当時に賦課金を課される可能性が存在していたことは瑕疵に当たるとして損害賠償を請求した。
あてはめ
本件各売買の当時、保留地の分譲はまだ開始されておらず、組合が賦課金を課すことが具体的に予定されていた形跡はない。賦課金の決議は売買から数年も経過した後になされたものである。土地区画整理組合の組合員は法的に賦課金を課される可能性を常に負っているが(法25条1項、40条1項)、本件における賦課金の可能性は、あくまで一般的・抽象的なものにとどまっていたといえる。したがって、本件各土地が予定された品質・性能を欠いていたと評価することはできない。
結論
本件各土地に民法570条にいう瑕疵があるとはいえず、上告人らは瑕疵担保責任を負わない。
実務上の射程
将来の公租公課や負担金増額の「可能性」が、いつの時点で契約上の不適合(瑕疵)となるかの判断基準(抽象的可能性か具体的可能性か)を示したものとして、土地区画整理事業地内の不動産取引における実務上重要な指針となる。
事件番号: 昭和40(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年4月14日 / 結論: 棄却
買主が原判示規模の居宅(原判決理由参照)の敷地として使用する目的を表示して買い受けた土地の約八割の部分が都市計画街路の境域内に存するため、たとえ買主が右居宅を建築しても、早晩、都市計画事業の実施により、その全部または一部を撤去しなければならない場合において、右計画街路の公示が、売買契約成立の一〇数年以前に、告示の形式で…