死刑の量刑が維持された事例(山梨の2名殺害等事件)
判旨
3名の生命を奪い、かつ死体を土中に埋めて遺棄するなどした各犯行(傷害致死、逮捕監禁、殺人等)について、被告人が主導的な役割を果たし、強固な殺意に基づき冷静に残忍な殺害行為に及んでいるなどの諸事情に照らせば、死刑の科刑は正当として是認される。
問題の所在(論点)
3名の生命を奪った被告人に対し、前科がないことや一部の犯行が偶発的であること等の情状を考慮しても、死刑を選択することが許されるか(刑罰の量定)。
規範
死刑の適用については、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、併せ考えるとき、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも、極めてやむを得ない場合には、死刑の選択も許される(永山判決の枠組み参照)。
重要事実
被告人は、人材派遣業を営む中、(1)雇っていた男性を木刀で多数回殴打し死亡させ(傷害致死)、(2)その約3年後、別の男性2名に対し、制裁を加えた末にキャンプ場へ連行し、自ら首を絞めて窒息死させ(殺人・逮捕監禁)、(3)さらに別の男性を監禁したほか、(4)交通事故の損害賠償金等2412万円を着服(業務上横領)した。特に(2)では、重機の手配を指示して死体を土中に埋めて遺棄しており、近隣住民に大きな不安を与えた。被告人には罰金刑以外の前科はなかった。
あてはめ
まず、(1)は被害者の態度に激高した執拗な殴打であり強い非難に値する。次に(2)は、被告人が重機の手配等を指示して主導的な役割を果たし、かつ緊縛され抵抗不能な被害者らの首を自ら絞めて殺害したもので、強固な殺意に基づく冷静かつ残忍な行為といえる。合計3名の生命を奪った結果は甚だ重大であり、死体遺棄等による社会的影響も大きい。これらに対し、罰金刑以外の前科がないこと、(1)が激情による側面があること、一部犯行を認め反省していること等の有利な事情を十分に考慮しても、人命軽視の態度は顕著であり、刑事責任は極めて重大であると評価される。
事件番号: 平成21(あ)1602 / 裁判年月日: 平成25年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が指示系統の従属的立場にあり、前科がなく反省を示している等の事情を考慮しても、4名の生命を奪った結果の重大性、殺害行為の中核を担った役割の大きさ、及び冷酷・残忍な犯行態様に照らせば、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:詐欺組織の構成員である被告人が、共犯者らと共謀の上、組織を裏切ろ…
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、死刑に処した第一審判決を維持した原判決は正当である。
実務上の射程
多数の被害者(本件では計3名)を出した凶悪犯罪において、首謀者的立場、殺害態様の残虐性、死体遺棄等の事後工作、社会的影響といった要素が、被告人の前科のなさを上回る重い評価対象となることを示している。
事件番号: 平成21(あ)994 / 裁判年月日: 平成25年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯行に至る経緯・動機に酌量の余地がなく、態様が極めて冷酷かつ非情であり、4名もの生命を奪った結果が甚だ重大な事案においては、被告人が犯行の中核的役割を果たし、反省の態度も乏しい等の事情がある限り、第一審の無期懲役判決を破棄して死刑を宣告した原判断は正当として是認される。 第1 事案の概要:詐欺団体…
事件番号: 平成20(あ)1224 / 裁判年月日: 平成23年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任は極めて重大であり、死刑の選択もやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、友人らとトラブルになったことを端緒として、被害者2名に対しゴルフ場やゴミ集積場等において暴行を加え、瀕死の状態に陥らせた。その後、両名の顔面をビニール袋で覆った上で、さらにその上からガムテープを巻き付けて窒…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…
事件番号: 平成6(あ)1024 / 裁判年月日: 平成10年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】半年余りの間に3名の命を奪った結果は極めて重大であり、犯行態様が冷酷、残忍かつ非情であって、遺族の被害感情も極めて厳しい等の事情がある場合には、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の科刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共に借金トラブルからBを殺害・遺棄し、その後、共犯者の父Dか…