裁判員制度と憲法18条後段,19条,32条,37条1項,76条1項,3項
憲法18条,憲法19条,憲法32条,憲法37条,憲法76条,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
判旨
裁判員制度は、憲法18条後段、19条、32条、37条1項、76条1項、3項に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」)に基づく裁判員制度が、憲法の定める奴隷的拘束からの自由(18条)、思想・良心の自由(19条)、裁判を受ける権利(32条)、公平な裁判所の審理を受ける権利(37条1項)、及び司法権の帰属・裁判官の独立(76条1項、3項)に抵触し、違憲ではないか。
規範
1. 憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗な偏見のない、中立的な裁判所を指し、職業裁判官のみによる構成を必須とするものではない。2. 憲法76条1項の「司法権」は、国民の参加を排除する趣旨ではなく、裁判員制度のような国民参画の仕組みは司法権の民主的基盤を強化するものとして許容される。3. 裁判員の職務負担は、公共の福祉による正当な制限の範囲内であり、18条、19条に違反しない。
重要事実
1. 被告人は、強盗殺人、詐欺、死体遺棄等の罪に問われ、裁判員制度が適用される第一審で審理を受けた。2. 被告人側は、裁判員制度が職業裁判官によらない裁判を強いるものであり、かつ国民に義務として裁判員職務を強制する点が、憲法上の諸規定(18条、19条、32条、37条1項、76条1項、3項)に違反すると主張した。
あてはめ
1. 憲法37条1項について:裁判員は法律に従い公平に職務を行う義務を負い、職業裁判官と共に合議体を構成するため、偏頗な判断がなされる客観的状況にはなく、「公平な裁判所」としての実質を充足する。2. 憲法76条1項、3項について:裁判員制度は、国民が自ら司法の運営に参加するものであり、裁判官の職務の独立を侵害するものではなく、司法権の民主的統制・基盤強化の趣旨に合致する。3. 憲法18条、19条について:裁判員の義務は広く国民に課される公的義務であり、特定の思想を強制するものでも、不当な拘束にあたるものでもない。4. 本件判決は先行する大法廷判決(平成23年11月16日)の趣旨を引用し、各違憲主張を排斥した。
事件番号: 昭和50(あ)2111 / 裁判年月日: 昭和53年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、別件の詐欺事実による逮捕・勾留であっても、直ちに捜査権の濫用として違法となるものではない。 第1 事案の概要:被告人は、詐欺の被疑事実によって逮捕・勾留された。しかし、弁護人はこの逮捕・勾留が実質的には本件(殺人事件等)の捜査を目的と…
結論
裁判員制度は合憲であり、同制度に基づくなされた本件裁判手続に憲法違反の違法はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
司法試験において裁判員制度の合憲性が問われた場合、本判決(及び引用される大法廷判決)に基づき、特に31条、32条、37条1項、76条との整合性を論じる際の確固たる規範として活用できる。
事件番号: 平成23(あ)13 / 裁判年月日: 平成24年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判員制度の憲法適合性 第1 事案の概要:被告人は、建造物侵入、強盗致傷、強盗の罪により起訴された。本件は裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)に基づき、裁判員が参加する公判手続によって審理が行われた。これに対し弁護人は、裁判員制度自体が憲法に違反するものであるとして、上告を申し立てた。…
事件番号: 昭和62(あ)710 / 裁判年月日: 平成2年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が殺人、有印私文書偽造、同行使、詐欺の犯人であるとした原判決の認定は、記録を調査しても事実誤認があるとは認められず、上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、殺人、有印私文書偽造、同行使、詐欺の罪に問われた。第一審判決は被告人をこれらの犯人と認定し、原判決(控訴審)もこれを是認した…
事件番号: 平成8(あ)168 / 裁判年月日: 平成12年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、複数の殺人・強盗殺人事件において、動機・態様・結果の重大性等の諸事情を総合考慮し、死刑の適用がやむを得ない場合には、これを是認することができる。 第1 事案の概要:被告人は約6年半の間に、2件の殺人と2件の強盗殺人等を犯した。具体的には、店舗店番の女…