死刑事件(香川・徳島・東京・神奈川連続殺人事件)
判旨
死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、複数の殺人・強盗殺人事件において、動機・態様・結果の重大性等の諸事情を総合考慮し、死刑の適用がやむを得ない場合には、これを是認することができる。
問題の所在(論点)
死刑制度の憲法36条適合性、及び複数の殺人・強盗殺人事件における死刑選択の妥当性。
規範
死刑制度は憲法36条に違反しない。死刑の適用に際しては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の冷酷さ・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の観点からもやむを得ない場合に限り、適用が許される(いわゆる永山基準を踏襲)。
重要事実
被告人は約6年半の間に、2件の殺人と2件の強盗殺人等を犯した。具体的には、店舗店番の女性を刺殺(殺人・窃盗)、暴力団の後輩を絞殺(殺人)、寮の同僚を金目的で絞殺(強盗殺人・死体遺棄)、及び伯父の妻を金目的で絞殺(強盗殺人・死体遺棄・詐欺等)したものである。第一・第二の事件については自首が成立し、被告人は反省の態度を示していたが、第一審は死刑を選択し、原審もこれを維持した。
あてはめ
本件各犯行は、包丁での刺殺やロープによる絞殺など、犯行態様が冷酷、非情かつ残虐である。特に強盗殺人については、遊興費や資金欲しさという動機に酌量の余地がなく、結果も極めて重大である。遺族の被害感情や社会的影響も深刻である。自首の成立や反省の態度といった被告人に有利な事情を十分に考慮したとしても、約6年半の間に計4名を殺害した罪責は誠に重大であり、極刑を選択することもやむを得ない。
結論
事件番号: 平成8(あ)482 / 裁判年月日: 平成12年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて悪質かつ重大な結果を招いた強盗殺人等の事案において死刑を科すことは、諸般の事情を考慮しても是認される。 第1 事案の概要:被告人は、実兄と共謀の上、一人暮らしの従弟(36歳)をビニールひもで緊縛・絞殺して権利証等を強取し、死体を海浜に遺棄した(…
死刑制度は合憲であり、被告人の罪責の重大性に照らせば、第一審の死刑判決を維持した原判決の量刑判断は正当として是認される。
実務上の射程
死刑の選択が争点となる事案において、死刑選択の判断枠組み(総合考慮)を示す際の根拠となる。特に、複数の殺人・強盗殺人が併合罪となっている場合において、自首や反省といった有利な事情があってもなお死刑が正当化され得る限界事例の指標として活用できる。
事件番号: 昭和62(あ)562 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に当たらず合憲であり、死刑の適用は、罪質、動機、態様、結果の重大性等の諸情状を併せ考察し、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、保険金目的で2名を殺害(海中への突き落とし及び鉄棒での殴打…
事件番号: 昭和62(あ)246 / 裁判年月日: 平成4年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断においては、犯行の罪質、動機、計画性、態様、殺害方法の残忍性、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合的に考慮すべきであり、情状を酌量しても罪責が重大な場合には死刑が是認される。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済のため、同僚の妻Bから健康保険証を奪って金員を詐取しようと計…
事件番号: 平成16(あ)932 / 裁判年月日: 平成19年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑適用に際しては、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が誠に重大であって、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、利得目的で2名の男性をそれぞれけん銃で頭部を…
事件番号: 平成12(あ)690 / 裁判年月日: 平成17年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の強盗殺人等に及んだ事案において、被告人の役割が共犯者と比較して主導性や積極性に劣り、自供による真相解明への貢献や反省の情が認められる場合には、死刑の選択を回避し無期懲役とした一審判決を維持することが許容される。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者Aと共に、2件の強盗殺人、1件の恐喝、および死…