根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権を譲り受けた者は,その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても,当該根保証契約の当事者間において上記債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り,保証人に対し,保証債務の履行を求めることができる。 (補足意見がある。)
根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合に譲受人が保証債務の履行を求めることの可否
民法446条1項,民法465条の2第1項,民法466条1項
判旨
根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務が元本確定期日前に譲渡された場合、特段の事情がない限り、保証債権も随伴して移転し、譲受人は保証人に対し保証債務の履行を請求できる。
問題の所在(論点)
根保証契約において、個別の被保証債権が元本確定期日前に譲渡された場合、保証債権はその譲渡に随伴して移転するか(根保証における随伴性の成否)。
規範
根保証契約の当事者は、主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すればその都度保証し、当該債務の弁済期が到来すれば元本確定期日前であっても保証債務の履行を求めることができ、債権譲渡があれば保証債権も随伴することを前提としていると解するのが合理的である。したがって、被保証債権の譲受人は、元本確定期日前の譲渡であっても、当事者間に譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し保証債務の履行を請求できる。
重要事実
債権者Aは債務者Bに対し、弁済期を平成21年8月とする貸付(計約8億円)を行った。これに対し、上告人(保証人)はAとの間で、BのAに対する債務を主たる債務とし、期間5年、極度額約48億円とする根保証契約を締結していた。その後、Aは上記貸付債権を元本確定期日前に第三者へ譲渡し、さらに被上告人がこれを譲り受けた。被上告人は、上告人に対し保証債務の履行を求めて提訴した。
あてはめ
本件根保証契約の当事者間において、被保証債権が譲渡された場合に保証債権が随伴することを否定するような「別段の合意」があるとはうかがわれない。また、本件の貸付債権は元々の貸付の借換えとして発生したものであり、経済的実質においても同一と評価される。このような状況下で、元本確定期日前であることを理由に随伴性を否定することは、当事者の合理的な意思に反し、保証人にとっても不測の損害を与えるものとはいえない。
結論
被保証債権の譲渡が元本確定期日前であっても、別段の合意がない限り随伴性は認められるため、被上告人の請求は認められる。
実務上の射程
根抵当権(民法398条の7第1項)とは異なり、根保証には確定前の随伴性を否定する明文規定がないことを踏まえ、原則として随伴性を認める実務を確立した。答案上は「別段の合意」の有無を契約書の文言や取引の経緯から検討する枠組みとして活用する。
事件番号: 平成28(受)944 / 裁判年月日: 平成29年3月13日 / 結論: 破棄自判
AのXに対する貸金債務についてYがXとの間で保証契約を締結した場合において,YがXから金員を借り受けた旨が記載された公正証書が上記保証契約の締結の趣旨で作成され, 上記公正証書に記載されたとおりYが金員を借り受けたとしてXがYに対して貸金の支払を求める旨の支払督促の申立てをしたとの事情があっても,上記支払督促は,上記保…