判旨
債務引受の態様が免責的か重畳的かは、契約の解釈の問題であり、証人の証言等に基づき重畳的債務引受と認定することは適法である。
問題の所在(論点)
債務引受がなされた場合において、その態様が免責的債務引受(旧債務者が免責される)か、あるいは重畳的債務引受(旧債務者が連帯して責任を負う)かの認定手法が問題となる。
規範
債務引受の性質(免責的か重畳的か)は、契約当事者の意思表示の解釈によって決せられる。特段の事情がない限り、債権者の利益を保護し、旧債務者の責任を存続させる重畳的債務引受と解する余地がある。
重要事実
上告人(被告)は、被上告人(原告)との間で本件和解契約を締結し、債務を引き受けた。上告人は、この債務引受が免責的債務引受であると主張したが、原審は証人Dの証言等に基づき、これを重畳的債務引受であると認定した。これに対し、上告人が事実誤認や理由不備を理由に上告した事案である。
あてはめ
原審は、提出された和解契約が強迫によるものであるとの主張を証拠不足として排斥した。その上で、証人Dの証言を根拠として、上告人による債務引受は旧債務者を免れさせる趣旨の免責的債務引受ではなく、重ねて引き受ける重畳的債務引受であると認定した。最高裁は、この証拠の取捨選択および事実認定は原審の専権に属する事項であり、不合理な点は認められないと判断した。
結論
本件債務引受は重畳的債務引受であると認定した原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
債務引受の法的性質の認定に関する事例判決。契約実務においては免責的か重畳的かを明示すべきだが、不明確な場合には、債権者に有利な重畳的債務引受と認定されうることを示唆している。司法試験においては、意思表示の解釈問題として論じる際の参考となる。
事件番号: 昭和32(オ)864 / 裁判年月日: 昭和34年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の取捨選択および事実の認定は、原審(事実審)の自由な合理裁量に属する事項であり、その判断に不合理な点がない限り、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が第一審判決を訂正・付加した上で引用し、是認した事実認定について、証拠の取捨判断の誤りを主張して上告を申し立てた。 第2 問題…