判旨
証拠の取捨選択および事実の認定は、原審(事実審)の自由な合理裁量に属する事項であり、その判断に不合理な点がない限り、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審による証拠の取捨選択および事実認定の妥当性が、上告審において審理・破棄の対象となるか。
規範
民事訴訟法における事実認定は、裁判官の自由心証主義に基づく合理的な裁量(自由裁量)に委ねられている。したがって、原審の証拠取捨および事実認定が不合理でない限り、上告審がこれを覆すことはできない。
重要事実
上告人は、原審が第一審判決を訂正・付加した上で引用し、是認した事実認定について、証拠の取捨判断の誤りを主張して上告を申し立てた。
あてはめ
原審が採用した証拠および認定した事実は、第一審の判断を適切に補正・引用したものであり、その内容に特段の不合理は認められない。上告人の主張は、単に事実審の専権事項である証拠の取捨や事実認定を争うものにすぎず、適法な上告理由を構成しない。
結論
本件上告を棄却する。原審の事実認定は是認し得るものであり、自由裁量の範囲内である。
実務上の射程
事実認定に関する不服は、経験則や論理則に反するなどの特段の事情がない限り、上告理由にはならないという実務上の原則を確認するものである。司法試験においては、事実認定の是非そのものではなく、自由心証主義の限界や適法な上告理由の検討において、事実認定が事実審の専権であることを前提とした論理構成に用いる。
事件番号: 昭和31(オ)553 / 裁判年月日: 昭和32年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審の証拠の取捨判断及び事実認定の適否を争うことは、単なる事実誤認の主張にすぎず、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原審における証拠資料の評価や事実認定のプロセスに不服があるとして、過去の判例を引用しつつ原判決の取消しを求めて上告した事案。 第2 問題の所在…