判旨
当事者が「保証」という用語を用いていても、その真意が他人の債務を自ら引き受けて支払う点にある場合は、併存的債務引受の成立を認めることができる。法律の素人である当事者間においては、保証と債務引受の区別が曖昧なまま用語が使用される実態を考慮すべきである。
問題の所在(論点)
法律上の知識が乏しい当事者間において、客観的に「保証」という文言等が介在する場合であっても、当初の合意内容に基づき「併存的債務引受」の成立を認めることができるか。
規範
契約の性質が保証か債務引受(特に重畳的・併存的債務引受)かの判断にあたっては、使用された文言に拘泥せず、当事者の知識経験、契約に至る経緯、及びその目的を総合的に勘案してその真意を解釈すべきである。法律上の観念が未分明な素人間の合意においては、「債務を引き受け支払う」旨の言葉が保証の意味で、あるいは「保証」という言葉が債務引受の意味で用いられることがあるため、実態に即した判断を要する。
重要事実
債権者である被上告人は、債務者Dに対する既往の貸金が未済であったため、追加融資を拒絶していた。これに対し、上告人らはDと共に被上告人を訪れ、本件債務を上告人らにおいて引き受け弁済し、絶対に迷惑をかけない旨を繰り返し述べて懇請した。被上告人はこれを受けて貸付を承諾した。その後、一部の書面等に「保証」という文言が用いられたり、被上告人が改めて「保証人を立てろ」といった趣旨の要求をしたりした形跡があったため、上告人らは債務引受の成立を否定して争った。
あてはめ
本件では、融資の前提として上告人らが「自ら引き受けて支払う」と強く働きかけたことで被上告人が貸付を決意したという経緯がある。この経緯からすれば、当事者間の真意は上告人らが独立した債務者として義務を負う点にあり、併存的債務引受の合意があったといえる。後に「保証」という言葉が使われたとしても、それは法律知識に乏しい素人が債務引受と保証を混同して使用したに過ぎない。また、被上告人が後日確実な証書の作成や保証人を求めたことも、既に存在する債務引受関係をより確実にする趣旨と解され、債務引受の成立と矛盾するものではない。
結論
上告人らとD、被上告人の間に併存的債務引受契約が成立したと認めた原審の判断は正当である。したがって、上告人らは本件債務について支払義務を負う。
実務上の射程
契約解釈における「真意」の探究の重要性を示す。特に、素人間で「保証」と「債務引受」の用語が混用されている事案において、保証債務の附従性や補充性を超えて直接的な履行義務を負わせる「併存的債務引受」を認定するための有力な考慮要素(融資成立への寄与度や、支払いの確約等)を提示している。
事件番号: 昭和33(オ)1123 / 裁判年月日: 昭和36年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】白紙の連帯保証約定書において、保証人が元本限度額を後日の協定に委ねることを了承して実印を捺印し、印鑑証明書を交付した場合、当該連帯保証契約は有効に成立する。 第1 事案の概要:D電機商会の社長Eが亡Fに対し、会社が銀行(被上告人)に対して負う債務の連帯保証人になるよう依頼し、Fはこれを承諾した。F…