判旨
白紙の連帯保証約定書において、保証人が元本限度額を後日の協定に委ねることを了承して実印を捺印し、印鑑証明書を交付した場合、当該連帯保証契約は有効に成立する。
問題の所在(論点)
保証債務の範囲(元本限度額)が白紙の状態で署名捺印された連帯保証契約につき、後日の決定に委ねる旨の合意がある場合に、契約の確定性を認めることができるか。
規範
契約の目的物や内容が契約締結時に具体的に確定していなくとも、将来これを選択・決定する方法や基準が合意されており、それに基づき特定可能であるならば、契約の確定性を欠くものとして無効とはならない。
重要事実
D電機商会の社長Eが亡Fに対し、会社が銀行(被上告人)に対して負う債務の連帯保証人になるよう依頼し、Fはこれを承諾した。Fは、連帯保証約定書の元本限度額欄が白紙であることにつき、後日銀行と会社との間の協定に基づいて記入されることを了承した。その上で、Fは実印を上告人Aに託して約定書に捺印させ、用意していた印鑑証明書を会社の担当者に交付した。
あてはめ
Fは、元本限度額が銀行と主債務者との協定によって後日決定・記入されることを認識し、これを了承した上で実印による捺印と印鑑証明書の交付を行っている。この場合、限度額の決定方法について明確な合意が存在し、客観的に金額を確定させることが可能であるといえる。したがって、署名時に金額が空欄であっても、公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、有効な保証の合意が成立したものと解される。
結論
本件連帯保証契約は有効であり、Fの相続人である上告人らは保証債務を免れない。
実務上の射程
白紙保証の有効性に関するリーディングケースの一つ。保証債務の確定性について、締結時の具体的記載がなくとも決定基準の合意があれば足りることを示す。答案上は、錯誤取消しや代理権の濫用、あるいは保証契約の成立を争う場面での主張立証の枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)360 / 裁判年月日: 昭和35年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】主債務者が無権利の商品に担保権を設定したため、債権者が当該担保から回収できず保証人に履行を求めた場合でも、信義則違反には当たらない。また、担保の存在が保証契約の要素であると認められない限り、錯誤による無効(現行法上の取消し)も認められない。 第1 事案の概要:主債務者Dは、既に所有権を失っていた貨…