収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において,審査請求がされたときは,収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間は,土地収用法133条1項ではなく行政事件訴訟法14条3項の適用により,その審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内となる。
収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合に審査請求がされたときにおける収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間
行政事件訴訟法14条3項,行政事件訴訟法20条,土地収用法133条1項
判旨
土地収用法の特例規定にかかわらず、収用委員会の裁決に対し審査請求がされた場合、原処分の取消訴訟の出訴期間には行政事件訴訟法14条3項が適用される。したがって、出訴期間は審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内となる。
問題の所在(論点)
収用委員会の裁決(原処分)に対して審査請求がされた場合、当該原処分の取消訴訟の出訴期間について、土地収用法133条1項の特例規定(3か月)と行政事件訴訟法14条3項(6か月)のいずれが適用されるか。
規範
収用委員会の裁決につき審査請求がされたときは、原処分の取消訴訟の出訴期間について、土地収用法133条1項(3か月の不変期間)の特例規定は適用されない。他に別段の規定がない以上、一般規定である行政事件訴訟法14条3項が適用され、その出訴期間は「審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内」となる。これは国民の裁判を受ける機会を適切に確保する改正行訴法の趣旨及び、原処分と裁決の取消訴訟を併合提起した場合の救済を定めた同法20条の趣旨に合致する。
重要事実
東広島市の土地区画整理事業に伴い、施行者が建築物等の直接施行による移転を完了したとして、収用委員会が損失補償裁決を行った。上告人らは同裁決を不服として審査請求をしたが棄却されたため、裁決書の謄本送達から約6か月後に、本件裁決(審査請求に対する裁決)の取消訴訟と、これに併合して本件損失補償裁決(原処分)の取消訴訟を提起した。原審は、原処分の取消訴訟について土地収用法133条1項が優先適用され、3か月の出訴期間を徒過しているとして訴えを却下した。
あてはめ
土地収用法は審査請求に対する裁決の取消訴訟について特例を設けておらず、行訴法の一般原則に従い6か月の期間を認めている。これと併合提起される原処分の取消訴訟についてのみ土地収用法の特例を適用して3か月に短縮することは、国民の権利利益の実行的な救済を図る行訴法改正の趣旨(14条3項)に反する。また、行訴法20条が原処分の出訴期間徒過を救済する趣旨であることに照らせば、原処分と裁決の取消訴訟の出訴期間は同一に解すべきである。本件では、審査請求に対する裁決の送達から6か月以内に訴えが提起されており、行訴法14条3項により出訴期間を遵守しているといえる。
結論
本件損失補償裁決の取消訴訟は、行訴法14条3項の適用により出訴期間を遵守した適法なものであるため、これを却下した原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
土地収用法以外の個別法において、原処分(裁決)に短期の出訴期間が定められている場合でも、審査請求を経た後の出訴期間については、行訴法14条3項が優先して適用される可能性を示す。答案上、個別法の期間制限がある場合でも、審査請求を経ている事実があれば行訴法の原則期間(6か月)を検討する根拠となる。
事件番号: 昭和27(オ)144 / 裁判年月日: 昭和29年8月20日 / 結論: 棄却
行政処分に対する異議申立が法定期間経過後になされた場合、異議決定庁は諸般の事情を考察し宥恕すべき事由があると認めるときは、その裁量によりこれを受理することができる。