行政処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には,行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」とは,告示があった日をいう。
行政処分が通知ではなく告示をもって画一的に告知される場合における行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」の意義
行政不服審査法14条1項,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)59条1項,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)62条1項
判旨
都市計画事業の認可のように、個別の通知ではなく告示により不特定多数の関係者に画一的に告知される処分については、行政不服審査法上の「処分があったことを知った日」は、現実に知った日ではなく「告示があった日」を指す。したがって、告示日の翌日から審査請求期間が進行し、期間徒過後の請求は不適法となる。
問題の所在(論点)
都市計画法に基づく事業認可のように、告示によって告知される処分について、行政不服審査法14条1項本文にいう「処分があったことを知った日」をどのように解すべきか。現実に知った日か、それとも告示日か。
規範
行政不服審査法14条1項本文の「処分があったことを知った日」は、通常は処分の存在を現実に知った日を指す。しかし、都市計画法上の事業認可のように、特定の個人を名あて人とせず、告示により多数の関係権利者等に画一的に告知される処分については、その性質及び告示制度の趣旨から、告示があった日をもって「処分があったことを知った日」と解するのが相当である。
重要事実
群馬県知事は、平成8年9月5日に都市計画道路事業の認可(本件認可)を行い、同月13日に都市計画法62条1項に基づきその告示をした。被上告人は、同年12月2日に本件認可の取消しを求める審査請求をしたが、建設大臣は、審査請求期間は告示日の翌日から進行し、既に徒過しているとして却下裁決(本件裁決)を行った。被上告人は、現実に知った日を基準にすべきとして本件裁決の取消しを求めて提訴した。
事件番号: 平成24(行ヒ)20 / 裁判年月日: 平成24年11月20日 / 結論: 破棄自判
収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において,審査請求がされたときは,収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間は,土地収用法133条1項ではなく行政事件訴訟法14条3項の適用により,その審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内となる。
あてはめ
都市計画事業の認可は、事業地内の権利者に効力が及ぶ対物的な性質を有する。都市計画法が個別通知ではなく告示を採用したのは、関係権利者全員を確実に把握することが困難であり、かつ認可の効力を全員に同時に及ぼす必要があるためである。同法は告示に加え、図面の縦覧や住民説明会等の周知措置を講じて権利者保護を図っている。このような画一的告知方法の合理性・趣旨に照らせば、告示の時に内容が告知されたとみるべきであり、個人の現実の認識を待つと制度の趣旨が全うされない。よって、本件では告示日である9月13日が「知った日」となる。
結論
本件審査請求は、告示日の翌日から起算して60日の審査請求期間(旧法)を徒過した後にされたものであり、不適法である。したがって、これを却下した本件裁決に違法はなく、被上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
告示により告知される処分の審査請求期間の起算点に関するリーディングケースである。答案上では、名あて人が特定されている処分(個別通知原則)と、都市計画認可や壁面線指定のように不特定多数に影響し告示が予定されている処分を区別し、後者の場合には本判例の規範を用いて「知った日=告示日」と認定する。
事件番号: 昭和26(オ)392 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第四七条の二にいう「当事者がその処分のあつたことを知つた日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知つた日を指すのであつて、抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。