自作農創設特別措置法第四七条の二にいう「当事者がその処分のあつたことを知つた日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知つた日を指すのであつて、抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。
自作農創設特別措置法第四七条の二の「当事者がその処分のあつたことを知つた日」の意義
自作農創設特別措置法47条の2
判旨
行政処分に対する取消訴訟の出訴期間の起算点となる「処分のあったことを知った日」とは、当事者が処分の存在を現実に知った日を指し、客観的に知り得べき状態にあるだけでは足りない。
問題の所在(論点)
行政事件訴訟法(本件当時は自作農特別措置法47条の2第1項)における「処分のあったことを知った日」の意義。特に、現実に知ったことを要するか、あるいは社会通念上の知り得べき状態で足りるか。
規範
「処分のあったことを知った日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指し、抽象的な知り得べき状態を意味するものではない。もっとも、書類が住所に送達される等、社会通念上知り得べき状態に置かれたときは、反証のない限り、処分の存在を知ったものと推定される。
重要事実
原告(上告人)は、自作農特別措置法に基づく行政庁の処分に対し、裁決を経て取消訴訟を提起した。同法47条の2第1項は、出訴期間を「処分のあったことを知った日から1箇月以内」かつ「処分の日から2箇月以内」と定めていた。第一審及び原審は、裁決書の送達等により社会通念上知り得る状態にあれば足り、現実に知得したか否かを問わないと解釈した。しかし、証拠によれば原告は裁決書送達時を含む一定期間不在であったことが認定されていた。
事件番号: 昭和25(オ)18 / 裁判年月日: 昭和27年4月25日 / 結論: 棄却
訴願裁決書の謄本が郵便により配達された以上、特段の事情のないかぎり、右謄本の配達を受けた日に右裁決のあつたことを知つたものと認めるべく、行政処分および訴願裁決の取消または変更を求める訴の出訴期間は、その日から起算すべきである。
あてはめ
本件規定が、主観的な起算点(知った日から1箇月)とは別に、客観的な不変期間(処分の日から2箇月)を設けて処分の不確定状態を限定していることに照らせば、前者は現実の知得を指すと解するのが相当である。本件において、原審は原告が不在であった事実を認めつつ、客観的な知り得べき状態のみをもって出訴期間の経過を認めた。しかし、不在により現実に知らなかったことが認定できる以上、推定は働かず、出訴期間が経過したとはいえない。
結論
「知った日」を現実の知得と解さず、客観的な知り得べき状態で足りるとした原審の判断には法令解釈の誤りがある。本訴提起が不適法であるとした原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
現行の行政事件訴訟法14条1項の「知った日」の解釈においてもそのまま妥当する。答案上は、原則として「現実の知得」が必要であることを示しつつ、送達等の事実から「知ったことの推定」を働かせるという二段構えの論証が有効である。
事件番号: 昭和24(オ)14 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における出訴期間の起算点に関し、処分の有効・無効は原則として影響せず、処分があったことを知った日から期間が進行する。また、たとえ処分自体に違法の疑いがあっても、法定の不服申立期間を経過した後の提訴は不適法である。 第1 事案の概要:上告人らは、自作農創設特別措置法に基づく被上告委…
事件番号: 昭和28(オ)1347 / 裁判年月日: 昭和30年8月2日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する不服申立期間を徒過してなされた不適法な申立てに対し、却下裁決がなされた場合には、訴願前置主義の下ではもはや原処分の当否を争う取消訴訟を提起することはできない。 第1 事案の概要:本件買収計画が昭和23年9月2日に定められ、同月3日から12日まで縦覧に供された。上告人がこれに対し異議…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。