判旨
行政処分に対する不服申立期間を徒過してなされた不適法な申立てに対し、却下裁決がなされた場合には、訴願前置主義の下ではもはや原処分の当否を争う取消訴訟を提起することはできない。
問題の所在(論点)
行政事件訴訟特例法2条(現行行訴法8条1項柱書、前置主義採用時)において、訴願等の裁決を経ることを訴訟提起の要件とする場合、期間徒過により却下裁決を受けたときは「裁決を経た」という要件を満たすか。
規範
行政庁の違法な処分の取消しを求める訴えにつき、不服申立て(訴願等)ができる場合にその裁決を経ることを要するとされているときは、適法な期間内に不服申立てがなされ、その裁決を経ていることを要する。不服申立期間を徒過した不適法な申立てに基づき、裁決庁がこれを却下した場合には、もはや実体的な原処分の当否を裁判所で争うことはできない。
重要事実
本件買収計画が昭和23年9月2日に定められ、同月3日から12日まで縦覧に供された。上告人がこれに対し異議を申し立てたのは、縦覧期間終了後から約1年数ヶ月が経過した昭和25年3月10日であった。自作農創設特別措置法によれば、異議申立ては縦覧期間内に限られていたため、被上告委員会は期間徒過を理由に異議申立てを却下した。
あてはめ
本件では、自作農創設特別措置法上の異議申立期間が縦覧期間内に限定されている。上告人が行った異議申立ては、期間終了から1年数ヶ月も経過しており、明白に不適法である。行政事件訴訟特例法2条が訴願前置を要求している趣旨は、行政庁による自律的是正の機会を設ける点にある。期間徒過による却下裁決がなされた場合にまで訴訟提起を認めれば、申立期間に関する規定が事実上無意義となり、法の趣旨に反する。したがって、本件のように不適法として却下された場合には、適法な裁決を経たものとは認められない。
結論
本件訴訟は不適法であり、却下されるべきである。原判決および第一審判決が本案判断を行ったことは法律の解釈を誤ったものであり、いずれも破棄を免れない。
事件番号: 昭和33(オ)1078 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
宅地買収計画取消請求の訴において、買収対価の不当がその違法事由の一として主張されている場合には、予備的請求としての買収対価増額請求の訴は、出訴期間経過後に提起されたものであつても、出訴期間遵守の点においては欠くるところがないと解すべきである。
実務上の射程
行政事件訴訟法8条1項ただし書(審査請求前置主義)が適用される個別法の下で、期間徒過により審査請求が却下された場合に、原処分の取消訴訟が適法か否かを判断する際の重要な準拠枠組みとなる。
事件番号: 昭和24(オ)161 / 裁判年月日: 昭和24年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収計画は、それ自体が法律上の効果を伴う厳格な行政処分とは言えないとしても、法律が異議・訴願の手続を定めている以上、争訟手続においては行政処分に類する性質を持つ。したがって、その取消訴訟の出訴期間は、特例法に従い訴願に対する裁決を知った日から起算されるべきであり、その後の買収令書交付を待つもの…
事件番号: 昭和33(オ)1095 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】買収計画取消訴訟において対価の不当を主張していた場合、後の対価増額請求の予備的追加における出訴期間の遵守は、取消訴訟の提起時を基準に判断されるが、被告を誤った不適法な訴えは却下を免れない。 第1 事案の概要:上告人は、農業委員会を被告として宅地買収計画の取消訴訟(第一次的請求)を提起し、その中で買…
事件番号: 昭和36(オ)947 / 裁判年月日: 昭和38年3月15日 / 結論: 棄却
被買収者が農地所在の村で農地委員の選挙権を行使した等の事実があつても、右買収基準時に教師として他村に転任しその学校住宅に家族とともに居住していたという事実関係のもとにおいては、その住所が当該農地の所在地にあつたと認めなければならないものではない。
事件番号: 昭和26(オ)392 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第四七条の二にいう「当事者がその処分のあつたことを知つた日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知つた日を指すのであつて、抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。