裁判員制度と憲法76条1項,80条1項
憲法76条,憲法80条,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
判旨
裁判員制度は、憲法76条1項(司法権の帰属)および80条1項(下級裁判所の裁判官の任命・任期)に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判員が刑事裁判の評議・評決に加わる「裁判員制度」が、司法権を裁判官のみに帰属させるとする憲法76条1項、および下級裁判所の裁判官の身分保障を定める同80条1項に違反するか。
規範
司法権が裁判官に独占されるべきとの解釈は採らず、国民の参与は憲法上の民主主義的要請に合致する。裁判官による適切な法解釈・適用が確保され、独立性が担保されている限り、裁判員が裁判に加わる仕組みは合憲である。
重要事実
被告人は殺人未遂および銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪で起訴された。一審(裁判員裁判)および二審において有罪判決を受け、上告。弁護人は、裁判員制度が憲法76条1項および80条1項に違反し、違憲な裁判所による判決であると主張した。
あてはめ
最高裁大法廷判決(平成23年11月16日)を引用し、裁判員制度は裁判官が関与して法の支配を貫徹する枠組みであり、司法権の核心を侵すものではない。裁判員には裁判官と同様の守秘義務や公正誠実義務が課されており、裁判の独立も毀損されない。したがって、被告人側の違憲主張には理由がない。
事件番号: 平成19(あ)567 / 裁判年月日: 平成19年7月10日 / 結論: 破棄差戻
1 判事補の職権の特例等に関する法律1条の2第1項に基づいて最高裁判所から高等裁判所判事の職務を代行させる旨の人事措置が発令されていない判事補が構成に加わった高等裁判所により宣告された原判決は,その宣告手続に法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法があり,刑訴法411条1号により破棄するのが相当である。 2 上告裁判…
結論
裁判員制度は合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
裁判員制度の合憲性に関する確立した判例(大法廷判決)を再確認したもの。答案上では、司法権の概念や裁判を受ける権利(憲法32条、37条1項)との関係で合憲性を論じる際の確実な根拠として引用する。
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…
事件番号: 平成15(あ)2396 / 裁判年月日: 平成18年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は、極めて重大な罪責を負うべき者に対して科される究極の刑罰であり、憲法13条、31条、36条に照らしても、公共の福祉の観点から合憲であると解される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人被告事件等の犯行に及び、その残虐な犯行態様や結果の重大性に鑑み、一審および二審において死刑の判決を受けた…
事件番号: 平成21(あ)1802 / 裁判年月日: 平成23年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑適用を検討すべき極めて重大な刑事責任が認められる事案であっても、殺意の程度(未必的殺意)や計画性の欠如、謝罪の態度等の有利な事情を総合考慮し、無期懲役刑を維持した原判決が甚だしく不当とはいえないと判断した。 第1 事案の概要:被告人は、離婚した元妻との復縁を求め、銃器を用いて警察官1名を射殺、…
事件番号: 昭和46(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和47年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反するとされる判例を具体的に摘示する必要があり、その欠如は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認および量刑不当を理由に上告を申し立てた。その際、弁護人の一人が判例違反を主張したが、どの判例に違反するかという具体的な摘示を欠いた…