1 判事補の職権の特例等に関する法律1条の2第1項に基づいて最高裁判所から高等裁判所判事の職務を代行させる旨の人事措置が発令されていない判事補が構成に加わった高等裁判所により宣告された原判決は,その宣告手続に法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法があり,刑訴法411条1号により破棄するのが相当である。 2 上告裁判所が原判決を破棄するに当たり,原判決の宣告手続に法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法があるという破棄事由の性質,被告事件の内容,審理経過等本件事情の下では,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
1 最高裁判所から高等裁判所判事の職務を代行させる旨の人事措置が発令されていない判事補が構成に加わった高等裁判所により宣告された原判決が,刑訴法411条1号により破棄された事例 2 上告裁判所が原判決を破棄するに当たり,口頭弁論を経ることを要しないとされた事例
(1,2につき)刑訴法377条1号,刑訴法411条1号,刑訴法413条 (1につき)裁判所法18条,裁判所法19条,判事補の職権の特例等に関する法律1条の2第1項 (2につき)刑訴法43条1項,刑訴法408条
判旨
判決の宣告手続において、職務代行の発令を受けていない判事補が構成に加わっていた場合、法律に従って裁判所を構成しなかった違法があり、刑訴法411条1号に該当する。また、このような事由に基づく破棄差戻しに際しては、同法408条の趣旨に照らし、口頭弁論を経ることを要しない。
問題の所在(論点)
判決宣告手続において権限のない判事補が裁判官として加わっていた場合、判決に影響を及ぼすべき法令の違反(刑訴法411条1号)にあたるか。また、当該事由により上告審が原判決を破棄差戻しする際、口頭弁論を経る必要があるか。
規範
1. 判事補が高等裁判所の判事の職務を代行するには、判事補の職権の特例等に関する法律1条の2第1項に基づく最高裁判所の発令を要し、これを欠く者が構成に加わった判決宣告手続は「法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法」(裁判所法18条等違反)となる。 2. 上記のような絶対的控訴理由(刑訴法377条1号)に準ずる構成の違法を理由に原判決を破棄し差し戻す場合、刑訴法408条の趣旨に照らし、口頭弁論を経ずに判決することができる。
事件番号: 平成23(あ)1917 / 裁判年月日: 平成24年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判員制度は、憲法76条1項(司法権の帰属)および80条1項(下級裁判所の裁判官の任命・任期)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は殺人未遂および銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪で起訴された。一審(裁判員裁判)および二審において有罪判決を受け、上告。弁護人は、裁判員制度が憲法76条1項および80…
重要事実
札幌高等裁判所における原審第2回公判期日において、原判決の宣告が行われた。しかし、当該裁判所の構成には、最高裁判所から札幌高等裁判所判事の職務を代行させる旨の人事措置(特例判事補の職務代行発令)が発令されていない札幌地方裁判所の判事補が加わっていた。検察官は、裁判所の構成の違法を理由に上告受理申立てを行った。
あてはめ
本件では、職務代行発令のない判事補が判決の宣告に関与しており、裁判所法18条等の定める適法な裁判所の構成を欠いている。この手続的違法は、適正手続の根幹に関わる重大な瑕疵であり、判決に影響を及ぼすべき法令の違反であって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。さらに、本件のような裁判所の構成の違法という明白かつ形式的な破棄事由が存在する場合、被告人の防御権等の観点からも口頭弁論を改めて開く必要性は乏しく、刑訴法408条の趣旨を類推・適用して直ちに破棄・差戻しをなしうる。
結論
原判決を破棄し、本件を札幌高等裁判所に差し戻す。なお、口頭弁論を経ることは要しない。
実務上の射程
裁判所の構成の違法という重大な手続違反がある場合に、刑訴法411条1号を適用して職権破棄を行う際の判断枠組みを示すものである。特に、検察官上告による破棄差戻しにおいて、実体判断を伴わない形式的な破棄事由であれば、口頭弁論を省略できるという実務上の運用を認めた点に意義がある。
事件番号: 昭和31(あ)1067 / 裁判年月日: 昭和33年5月19日 / 結論: 棄却
高等裁判所が旧刑訴法事件につき覆審としてなした判決は、刑訴第四〇五条第三号にいう判例にあたらない
事件番号: 昭和46(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和47年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反するとされる判例を具体的に摘示する必要があり、その欠如は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認および量刑不当を理由に上告を申し立てた。その際、弁護人の一人が判例違反を主張したが、どの判例に違反するかという具体的な摘示を欠いた…
事件番号: 昭和42(あ)3021 / 裁判年月日: 昭和43年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に影響を及ぼさない軽微な事実誤認があっても、その余の証拠により共謀関係が認められる場合には、有罪判決を維持することができる。 第1 事案の概要:被告人Fは、他の相被告人らと本件犯行について共謀したとして起訴された。原判決には、第一審判決が挙げた証拠では認定できない事実を一部引用している箇所があ…