高等裁判所が旧刑訴法事件につき覆審としてなした判決は、刑訴第四〇五条第三号にいう判例にあたらない
刑訴法第四〇五条第三号にいう判例にあたらない事例
刑訴法405条
判旨
刑事訴訟法405条3号にいう「判例」とは、高等裁判所が覆審として旧刑事訴訟法に基づき下した判決を含まないと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条3号の「判例」に、旧刑事訴訟法に基づき覆審たる高等裁判所が下した判決が含まれるか、その範囲が問題となる。
規範
刑事訴訟法405条3号にいう「判例」とは、最高裁判所の判決のほか、最高裁判所の判例がない場合に限り、大審院または上告裁判所としての高等裁判所、あるいは新刑事訴訟法施行後の高等裁判所による判決を指す。したがって、旧刑事訴訟法に基づき、覆審として高等裁判所が下した判決はこれに含まれない。
重要事実
被告人が高等裁判所の判決に対し上告を申し立てた際、その理由として、原判決が昭和24年(を)第1854号・同26年4月25日東京高等裁判所第7刑事部判決という「判例」に矛盾するものであると主張した。しかし、当該引用判決は、旧刑事訴訟法下の事件につき、覆審として高等裁判所が言い渡したものであった。
事件番号: 昭和46(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和47年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反するとされる判例を具体的に摘示する必要があり、その欠如は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認および量刑不当を理由に上告を申し立てた。その際、弁護人の一人が判例違反を主張したが、どの判例に違反するかという具体的な摘示を欠いた…
あてはめ
本件で弁護人が引用した東京高等裁判所の判決は、旧刑事訴訟法に基づき覆審としてなされたものである。これは、現行刑事訴訟法405条3号が上告理由として想定する「判例」の類型には当たらない。したがって、当該判決との矛盾をいう主張は、適法な上告理由を構成しない。また、その他の主張についても事実誤認や単なる法令違反をいうに留まり、適法な上告理由とは認められない。
結論
旧刑事訴訟法に基づき覆審として高等裁判所がなした判決は、刑事訴訟法405条3号にいう判例に当たらないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法405条各号の上告理由を検討する際、「判例」の範囲を確定させるために用いられる。特に高等裁判所の判決を引用する場合、それが新法下のものか、上告裁判所としてのものかを確認する必要があり、旧法下の覆審判決は排除されるという限界を示すものである。
事件番号: 昭和26(あ)2301 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、事実誤認、量刑不当、単なる訴訟法違反を理由とする上告について、これらが刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらないことを明確にしたものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てたが、その具体的な主張内容は事実誤認、量刑不当、および単なる訴訟法違反を主張するものであっ…
事件番号: 昭和26(あ)1331 / 裁判年月日: 昭和26年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に刑訴法411条の適用を主張するにとどまり適法な上告理由に当たらないこと、及び記録上同条を適用すべき事由がないことを理由に上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人AおよびB側からなされた各上告について、弁護人による上告趣意の一部が判例違反を主張していたが、その実…
事件番号: 昭和26(あ)476 / 裁判年月日: 昭和27年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない主張や単なる訴訟法違反の主張は、刑訴法405条の上告理由には該当せず、特段の事情がない限り棄却される。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、原判決に判例違反および訴訟法違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その判例違反の主張は、原判決が実際には判断を下していない事項を前提と…
事件番号: 昭和27(あ)5747 / 裁判年月日: 昭和29年3月30日 / 結論: 棄却
論旨第二、第三点所論の各法規(銃砲刀剣類等所持取締令、爆発物取締罰則、銃砲火薬類取締法)は当裁判所大法廷においても既に何回となく繰返し適用して居るものであつて、これは違憲でないとの判断を前提とすること勿論である。右各論旨の如きはいずれも違憲に名を藉るものと見る外ない。なお論旨第三点は原審が適用もせず、判断もして居ない大…