論旨第二、第三点所論の各法規(銃砲刀剣類等所持取締令、爆発物取締罰則、銃砲火薬類取締法)は当裁判所大法廷においても既に何回となく繰返し適用して居るものであつて、これは違憲でないとの判断を前提とすること勿論である。右各論旨の如きはいずれも違憲に名を藉るものと見る外ない。なお論旨第三点は原審が適用もせず、判断もして居ない大赦令に関するもので全然原判決に対する攻撃にもならないものである。
一 銃砲刀剣類等所持取締令、爆発物取締罰則および銃砲火薬類取締法の合憲性 二 原審が適用もせず又判断もして居ない法令の違憲を主張する上告の適否
憲法18条,刑訴法405条1号,銃砲刀剣類等所持取締令,爆発物取締罰則,銃砲火薬類取締法
判旨
最高裁判所が既に合憲判決を下している法令につき、なおも違憲を主張する上告理由は、実質的に違憲を主張するものとは認められず、刑訴法405条の上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
最高裁判所において既に合憲性が確立している法令の違憲を主張することが、刑訴法405条の上告理由(憲法違反)に該当するか。
規範
最高裁判所大法廷において既に繰り返し適用され、合憲との判断が確立している法規について、重ねて違憲を主張することは、刑訴法405条に定める上告理由(憲法違反)の実質を欠くものと解される。
重要事実
被告人の弁護人は、原判決が適用した法規等について憲法違反を主張して上告した。しかし、当該法規は最高裁判所大法廷において既に何度も適用されており、合憲であるとの判断が前提となっているものであった。
事件番号: 昭和28(あ)4404 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が共産党員であることを理由に不平等な取扱いを受けた事実は認められず、また刑事補償に関する主張は上告理由とならない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起し、上告趣意において(1)自身が共産党員であるために不平等な取扱いを受けたとする憲法違反の主張、および(2)刑事補償に関する主張を予備的に行…
あてはめ
弁護人が主張する各法規は、最高裁判所において既に繰り返し適用され、合憲であるとの判断が前提とされているものである。したがって、これに反する違憲の主張は「違憲に名を籍(か)るもの」にすぎず、刑訴法405条の上告理由としての実質を備えていないといえる。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、同法414条、386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
判例法理が確立した事項についての違憲主張が、上告受理の門前払いの対象(不適法な上告)となることを示す。答案上は、上告理由の有無を判断する際の形式的要件の検討において、既に合憲判決がある場合の処理として参照される。
事件番号: 昭和26(あ)3022 / 裁判年月日: 昭和27年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として憲法違反を主張する場合であっても、具体的にその理由を明らかにしないときは、上告の適法な理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法違反を主張して上告を申し立てたが、その具体的な理由については何ら明らかにしていなかった事案である。 第2 問題の所在(論点):上告理由として憲法…
事件番号: 昭和26(あ)1259 / 裁判年月日: 昭和26年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、弁護人が主張する憲法違反の訴えについて、実質的には単なる訴訟法違反の主張にすぎないと判断し、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却した。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起し、弁護人が上告趣意において憲法違反を主張した。これに対し、裁判所が当該主張の具体的内容を精査し、上告理由…
事件番号: 昭和25(あ)1456 / 裁判年月日: 昭和26年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、原判決の憲法違反を主張する上告趣意について、実質的に刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないと判断し、職権調査によっても同法411条の破棄事由を認めず、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に憲法違反があるとして上告を申し立てた事案である。弁護人は上告趣意書において…
事件番号: 昭和25(あ)2458 / 裁判年月日: 昭和26年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に留まり、刑訴法405条の定める上告理由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:弁護人は、第一審または控訴審の判断に対し、訴訟手続に違反がある点(訴訟法違反)および言い渡された刑罰が重すぎる点(量刑不当)を理由として上告を申し立…