死刑の量刑が維持された事例(反対意見がある。)(光市母子殺害事件)
判旨
犯行時18歳の少年であっても、罪質、動機、態様、結果の重大性に鑑みれば、死刑の選択を回避すべき「特に酌量すべき事情」があるとはいえず、死刑に処した原判決の判断は是認される。
問題の所在(論点)
犯行時18歳の少年の量刑において、その精神的・道徳的成熟度の低さや生育環境(母親の自殺、父親の暴力等)が、死刑の選択を回避すべき「特に酌量すべき事情」に該当するか。
規範
死刑の選択に当たっては、永山基準(犯行の罪質、動機、態様、殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等)を総合考慮すべきである。特に被告人が少年である場合、その可塑性や更生の可能性を考慮し、慎重な判断を要するが、犯情が極めて重大な場合には、死刑の選択を回避すべき決定的な事情とはなり得ない。
重要事実
当時18歳の被告人が、23歳の主婦を強姦しようと暴行を加え、激しく抵抗されたため殺害して強姦し、さらに犯行発覚を恐れて生後11か月の長女を床に叩き付けた上、紐で絞殺した。その後、被害者の財布を盗み、死体を押し入れに隠した。被告人は原審で不合理な新供述を行うなど、真摯な反省の情が欠けていた。
あてはめ
各犯行は強姦および殺人の強固な犯意に基づき、無比の冷酷かつ残虐なものである。被害者2名という結果は極めて重大であり、遺族の感情も峻烈である。被告人の精神的成熟度が18歳を下回る可能性や、不遇な生育環境、前科がないこと、改善更生の可能性を考慮しても、これらは犯情の極めて重大な悪質性を打ち消すほどではない。また、少年法51条1項は年齢という形式的基準を設けており、精神的成熟度について客観的な判定基準が存在しない以上、これを理由に死刑を回避すべき法的義務はない。
結論
事件番号: 平成14(あ)730 / 裁判年月日: 平成18年6月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】死刑制度を存置する現行法制下では、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡および一般予防の見地から極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑を選択せざるを得ない。特に、犯行時18歳以上の少年で…
被告人の刑事責任は余りにも重大であり、死刑に処した原判決を維持し、上告を棄却する。
実務上の射程
少年事件における死刑適用の判断枠組みを再確認した事例。特に精神的成熟度という曖昧な要素が、少年法51条1項(18歳以上への死刑適用)を制限する決定的な事情にはなりにくいことを示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 平成15(あ)894 / 裁判年月日: 平成18年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用が許容される基準(いわゆる永山基準)の提示 第1 事案の概要:被告人は、拳銃を窃取して所持し、約1ヶ月の間に4名を射殺した。犯行は計画的かつ執拗であり、被害者らに落ち度はない。遺族の被害感情は峻烈であり、社会に与えた恐怖も甚大である。一方で、犯行当時、被告人は19歳の未成年であり、家庭環…
事件番号: 昭和58(あ)581 / 裁判年月日: 平成2年4月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、殺害方法の執拗性・残虐性、被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状等、一切の事情を総合的に考慮し、その罪責が極めて重いと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、農作業中の主婦を強姦目的で襲い、抵抗されたため頸部を強…
事件番号: 平成17(あ)1823 / 裁判年月日: 平成20年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑に際しては、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合考慮すべきであり、本件の残虐性や強固な殺意に鑑みれば死刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、同棲相手の娘(12歳)と口論になり、憎しみを爆発させて包丁と紐で殺害。そ…