死刑事件(若妻強姦殺害事件)
判旨
死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、殺害方法の執拗性・残虐性、被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状等、一切の事情を総合的に考慮し、その罪責が極めて重いと認められる場合に許容される。
問題の所在(論点)
死刑の選択が許容されるための判断基準(量刑の妥当性)。
規範
死刑の適用を検討する際には、①犯行の性質(計画性の有無、動機等)、②態様(殺害方法の執拗性、残虐性等)、③結果(被害者の数、遺族の被害感情)、④社会的影響、⑤被告人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を総合考慮すべきである。これらを踏まえ、その罪責が誠に重く、極刑に処することがやむを得ないと認められる場合に、死刑が選択される。
重要事実
被告人は、農作業中の主婦を強姦目的で襲い、抵抗されたため頸部を強圧した上、短刀様の鋭利な刃物で胸部や腹部を多数回滅多突きにするなどして殺害した(強姦致死、殺人)。被告人には少年時代の強盗殺人等の前科があり、本件は刑の執行終了後わずか3か月で敢行されたものであった。
あてはめ
本件犯行は、強姦目的で執拗かつ残虐な方法により殺害に至ったものであり、動機に酌量の余地はない。また、重罪の前科後わずか3か月での再犯であること、遺族の被害感情が深刻であり社会に与えた影響も軽視できないことも重視される。計画性の欠如や、前科が少年時のものであること、生育歴等の被告人に有利な事情を考慮しても、その罪責は極めて重いといえる。
結論
被告人を極刑(死刑)に処した原判決の量刑は、不当であるとは認められない。
事件番号: 昭和58(あ)140 / 裁判年月日: 平成元年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、結果の重大性、遺族の被害感情等の罪質及び情状を総合的に考慮し、その罪責がまことに重大であって、死刑の科刑がやむをえないと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、機会を異にして、手向かう術のない婦女2名を殺害した。各犯行は冷酷無情かつ残忍な態…
実務上の射程
死刑適用の判断枠組み(いわゆる永山基準の流れを汲む総合考慮)を示す事案として、量刑論において参照される。特に、計画性が低い等の有利な事情があっても、犯行の残虐性や前科等の不利な事情が上回る場合には死刑が維持されることを示している。
事件番号: 平成4(あ)168 / 裁判年月日: 平成9年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断において、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、および被告人の前科等を総合的に考慮し、酌むべき事情を十分に考慮しても罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択が是認される。 第1 事案の概要:被告人は、常習累犯窃盗罪により懲役3年6月に処せられ、仮出獄中の身であった…
事件番号: 平成9(あ)655 / 裁判年月日: 平成11年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択は、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等の諸般の事情を総合的に考察し、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。被害者が1名であっても、これらの情状により死刑が相当となる場合があるが、本件では殺害の計画性の程度や前科の性質…
事件番号: 平成14(あ)730 / 裁判年月日: 平成18年6月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】死刑制度を存置する現行法制下では、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡および一般予防の見地から極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑を選択せざるを得ない。特に、犯行時18歳以上の少年で…
事件番号: 平成7(あ)388 / 裁判年月日: 平成12年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。確定判決を挟む複数の犯行がある場合、それらを個別に処断しつつも、犯行の経緯や関連性を量刑上考慮すべきである。…