死刑事件(千葉・高知女性強盗強姦殺害事件)
判旨
死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。確定判決を挟む複数の犯行がある場合、それらを個別に処断しつつも、犯行の経緯や関連性を量刑上考慮すべきである。
問題の所在(論点)
死刑選択の判断基準(永山基準の適用)と、確定裁判が介在する複数の重大犯罪について、各別に処断する場合の量刑判断の在り方が問題となった。
規範
死刑の選択に当たっては、①犯行の性質、②動機、③態様(殺害方法の執拗さ・残虐性等)、④結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状を総合的に考慮すべきである。これらを踏まえ、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に、死刑が選択される。
重要事実
被告人は、強盗致傷等の前科があり、別の強姦致傷罪での刑の執行前後約7年の間に、4回にわたり女性を言葉巧みに車に同乗させ、強盗・強姦・殺人に及んだ。第一の犯行は、18歳女性を緊縛・強姦した上、発覚を恐れて絞殺し金品を強取したもの。その後、別の強姦致傷罪で懲役4年6月の判決を受け服役し、仮出獄から約3か月半後に第二の犯行(24歳女性を同様の手口で強姦・絞殺・死体遺棄)に及んだ。さらにその後に2件の強盗強姦未遂等を行った。第一審は、確定判決前の第一の犯行に無期懲役、確定判決後の第二の各犯行に死刑を言い渡した。
あてはめ
本件各犯行は動機に酌量の余地がなく、若い女性2名を強姦後に殺害した結果は極めて重大である。犯行態様は冷酷・非道であり、遺族の被害感情も厳しく、社会的影響も大きい。確定裁判を挟むため形式的には第一の犯行と第二の各犯行を分断して処断する必要があるが、量刑判断においては、短期間に同種犯行を繰り返した経緯や前科の存在を十分に考慮すべきである。被告人の反省等の情状を考慮しても、その罪責は誠に重く、極刑の選択を維持した原判断は妥当である。
事件番号: 平成20(あ)552 / 裁判年月日: 平成23年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判例(最判昭和58年7月8日等参照)に基づき、死刑選択の許容性を判断する基準を提示する。 第1 事案の概要:本件において、被告人ら3名は、以前から人命を軽視するような生活態度をとっていた。本件犯行は、犯行の隠蔽や逃走資金の確保といった身勝手な動機に基づくものである。犯行態様は極めて残虐かつ執拗であ…
結論
被告人の罪責は誠に重く、死刑の選択はやむを得ないものとして、上告を棄却した。
実務上の射程
いわゆる「永山基準」を踏襲しつつ、確定判決が介在する場合の併合罪にならない数罪についても、犯行の経緯を一体的に評価して死刑を選択できることを示した事例。答案上は、死刑選択の際の考慮要素を列挙する際の規範として用いる。
事件番号: 昭和58(あ)140 / 裁判年月日: 平成元年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、結果の重大性、遺族の被害感情等の罪質及び情状を総合的に考慮し、その罪責がまことに重大であって、死刑の科刑がやむをえないと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、機会を異にして、手向かう術のない婦女2名を殺害した。各犯行は冷酷無情かつ残忍な態…
事件番号: 平成13(あ)1401 / 裁判年月日: 平成17年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の極めて重大な罪を犯した被告人に対し、犯行の態様が冷酷かつ残忍で結果が甚大であり、前科関係や動機にも酌むべき点がない場合、不遇な成育歴等の事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、約半月の間にスナック等の女性経営者計4名を窒息死または失血死させて現金を強奪する…
事件番号: 昭和50(あ)189 / 裁判年月日: 昭和53年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の動機、態様、残虐性、結果の重大性、社会的影響等の諸般の事情を慎重に考慮し、その刑責が極めて重大であると認められる場合には、死刑を選択することもやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、一人暮らしの老人等を短期間に連続して襲撃した。犯行内容は、1件の強盗、1件の強盗未遂…