第1審裁判所と控訴裁判所に再審請求が競合した場合において,控訴を棄却した確定判決に対する再審請求が適法な再審事由の主張がないため不適法であることが明らかなときは,控訴裁判所は,刑訴規則285条1項による訴訟手続の停止をすることなく,当該再審請求を棄却することも許される。
控訴棄却の確定判決に対する再審請求が適法な再審事由の主張がなく不適法であることが明らかなときと刑訴規則285条1項による訴訟手続の停止
刑訴法436条1項,刑訴法435条1号,刑訴法435条2号,刑訴法435条7号,刑訴規則285条1項
判旨
控訴棄却の確定判決に対する再審請求が、適法な再審事由を欠き不適法であることが明らかな場合には、刑訴規則285条1項に基づく訴訟手続の停止をせず、直ちに当該請求を棄却することができる。
問題の所在(論点)
刑訴法436条1項及び刑訴規則285条1項に関し、再審請求が競合する場合において、控訴棄却の確定判決に対する請求に再審事由の主張がないとき、手続を停止せずに棄却できるか。
規範
再審請求が競合した場合(第1審の確定判決と控訴棄却の確定判決に対する請求が同時になされた場合)、控訴裁判所は原則として刑訴規則285条1項に基づき訴訟手続を停止すべきであるが、控訴棄却判決に対する請求が不適法であることが明らかなときは、審理の重複や判断の矛盾が生じるおそれがないため、手続の停止をせずに棄却することが許される。
重要事実
本件再審請求は控訴棄却の確定判決に対するものであったが、刑訴法436条1項所定の再審事由の主張がなく、法令上の方式に違反していた。一方で、対象事件の第1審有罪判決に対する再審請求が福岡地方裁判所に係属しており、請求が競合する状態にあった。原々審は、刑訴規則285条1項による訴訟手続の停止を行わずに、本件再審請求を棄却した。
事件番号: 昭和43(し)34 / 裁判年月日: 昭和43年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる訴訟法違反を主張するものは、同条所定の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が刑事訴訟法433条に基づき特別抗告を申し立てた事案。抗告人はその理由として憲法違反を主張していたが、その主張の実質は訴訟法違反を指摘するものであった。…
あてはめ
本件再審請求は、適法な再審事由の主張がなく不適法であることが明らかであった。このような場合、第1審裁判所と控訴裁判所との間において審理の重複や判断の矛盾等が生じるおそれは実質的に存在しない。したがって、原々審が訴訟手続を停止することなく請求を棄却した判断は相当であるといえる。
結論
再審請求が不適法であることが明らかな場合には、手続の停止をせず棄却できる。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
再審請求の競合場面における訴訟経済と判断の矛盾防止のバランスを示す判例。明らかに不適法な請求に対してまで手続停止を強制しないという限定解釈を示すものであり、形式的な競合のみをもって一律に停止を要しない実務上の便宜を認めている。
事件番号: 平成13(し)123 / 裁判年月日: 平成15年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する再度の事実審理(三審制)を設けないことは、立法政策の問題に過ぎず、憲法上の権利を侵害するものではない。 第1 事案の概要:抗告人が、高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し、再度の事実審理を受ける機会を設けていない現行の裁判所法、刑訴応急措置法、刑訴法施行法の各規定が憲法41…
事件番号: 昭和51(し)130 / 裁判年月日: 昭和54年5月1日 / 結論: 破棄差戻
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合に準用される。
事件番号: 昭和28(し)94 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のなした再審請求棄却決定に対しては異議の申立てが可能であるため、これに対する特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:福岡高等裁判所に対し再審請求がなされたが、同裁判所はその請求を棄却する決定を下した。これに対し、請求人が最高裁判所に対して特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の…
事件番号: 昭和58(す)143 / 裁判年月日: 昭和58年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対してなされた特別抗告を棄却した決定については、刑事訴訟法501条にいう「裁判の解釈を求める申立」をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、再審請求を棄却した決定、及びこれに対する即時抗告を棄却した決定を経てなされた特別抗告棄却決定に対し、刑事訴…