いわゆる山本老第3次再審請求事件(尊属殺人)
判旨
再審請求棄却決定に対する再度の事実審理(三審制)を設けないことは、立法政策の問題に過ぎず、憲法上の権利を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
再審請求棄却決定に対し、事実審理(事実審査)としての不服申立ての機会が法的に保障されていないことが、憲法が保障する裁判を受ける権利や適正手続等に反するか。
規範
三審制が憲法上保障されているか否かについては、再度の事実審理を受ける機会を設けるか否かは専ら立法政策の問題であり、憲法11条、13条、14条1項、31条、32条等の憲法の適否の問題ではない。
重要事実
抗告人が、高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し、再度の事実審理を受ける機会を設けていない現行の裁判所法、刑訴応急措置法、刑訴法施行法の各規定が憲法41条(立法不作為)等に違反すると主張して抗告した事案。
あてはめ
最高裁は、過去の大法廷判決の趣旨に照らし、再審請求手続において事実審理の機会を重ねて設けるか否かは、立法の裁量に委ねられた「立法政策の問題」であると判断した。したがって、再度の事実審理の規定がないことをもって、裁判を受ける権利(32条)や法の下の平等(14条)等に違反するとの主張は、前提を欠くものといえる。
結論
再審請求棄却決定に対し、事実審理としての再抗告の機会を設けないことは憲法に違反しない。したがって、本件抗告は棄却される。
事件番号: 昭和62(し)45 / 裁判年月日: 平成2年10月17日 / 結論: 棄却
旧刑事訴訟法の下において有罪の確定判決を受けた事件に対する再審請求につき高裁がした決定に対し、刑訴応急措置法一八条により最高裁判所に申し立てられた特別抗告については、刑訴法四一一条三号は準用されない。
実務上の射程
司法試験においては、三審制が絶対的な憲法上の権利ではなく、立法政策に委ねられていることを示す際の根拠判例として活用できる。特に再審等の特別手続における手続的保障の限界を論じる際に有効である。
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 昭和43(し)34 / 裁判年月日: 昭和43年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる訴訟法違反を主張するものは、同条所定の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が刑事訴訟法433条に基づき特別抗告を申し立てた事案。抗告人はその理由として憲法違反を主張していたが、その主張の実質は訴訟法違反を指摘するものであった。…
事件番号: 平成23(し)500 / 裁判年月日: 平成24年2月14日 / 結論: 棄却
第1審裁判所と控訴裁判所に再審請求が競合した場合において,控訴を棄却した確定判決に対する再審請求が適法な再審事由の主張がないため不適法であることが明らかなときは,控訴裁判所は,刑訴規則285条1項による訴訟手続の停止をすることなく,当該再審請求を棄却することも許される。
事件番号: 昭和54(し)94 / 裁判年月日: 昭和54年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪の確定判決に対しどの限度で再審請求を許すかは、もっぱら立法政策の問題であり、刑事訴訟法435条6号の規定が憲法31条、32条に違反することはない。 第1 事案の概要:有罪の確定判決を受けた被告人が、再審事由を規定する刑事訴訟法435条6号の文言ないし運用が憲法31条および32条に違反する旨を主…