在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合に準用される。
在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合と刑訴法三六六条一項の準用の有無
刑訴法366条1項,刑訴法428条,刑訴法444条,刑訴法450条
判旨
刑事訴訟法366条が定めるいわゆる監獄差出の特則は、再審請求のみならず、再審請求棄却決定に対する異議の申立てについても準用される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法366条に定める「監獄差出の特則(在監者が期間内に監獄の長等に書面を差し出せば期間内に申立てがあったとみなす制度)」が、再審請求棄却決定に対する異議の申立てについても準用されるか。
規範
刑事訴訟法366条(監獄にいる被告人の上訴の特則)の規定は、刑事手続における不服申立期間の遵守を保障する趣旨に含まれるべきであり、再審請求の手続のみならず、再審請求を棄却した決定に対する異議の申立て(同法428条2項、422条)についても準用されるものと解するのが相当である。
重要事実
徳島刑務所に在監中の申立人は、高松高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、異議申立書(標題は即時抗告)を不服申立期間内に同刑務所長へ差し出した。刑務所長はこれを郵送し、裁判所が受け付けたのは期間経過後であった。原審は、期間経過後の不適法な申立てであるとして、当該異議申立てを棄却した。
事件番号: 昭和43(し)71 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
あてはめ
申立人は刑務所に在監中であり、決定謄本の送達を受けた日から不服申立期間内(3日以内)である昭和51年11月5日に異議申立書を刑務所長へ差し出している。刑訴法366条が準用される結果、裁判所への到達が期間経過後であっても、刑務所長への差出時をもって有効な不服申立てがなされたものと評価される。したがって、本件異議申立ては法定の提起期間内に適法になされたものといえる。
結論
本件異議申立てを期間経過による不適法とした原決定は法令の解釈適用を誤っており、取り消されるべきである。
実務上の射程
在監者の権利救済の観点から、366条の特則が上訴以外(再審関連の異議申立て等)にも広く及ぶことを示した。答案上は、期間制限のある不服申立手続において、在監者が関わる場合の期間計算の論点として、準用の可否を検討する際に活用する。
事件番号: 昭和50(し)1 / 裁判年月日: 昭和50年3月20日 / 結論: 棄却
刑訴法三六六条一項は再審請求事件の特別抗告の申立に準用される。
事件番号: 平成26(し)567 / 裁判年月日: 平成27年3月24日 / 結論: 棄却
再審請求人が,住居の届出をした後,裁判所に対してその変更届出等をしてこなかった一方で,裁判所も,同人の所在を把握できず,その端緒もなかったなどの判示の事実関係の下では,同人が別件で刑事施設に収容されていたとしても,上記届出住居に宛てて行った同人に対する再審請求棄却決定謄本の書留郵便に付する送達は,刑訴規則63条1項によ…
事件番号: 昭和54(し)88 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】在監者が付審判請求事件の決定に対して特別抗告を申し立てる場合、刑事訴訟法366条1項(特則としての在監者主義)は準用ないし類推適用されない。したがって、抗告期間内に申立書を監獄官吏に提出しても、期間内に裁判所に受理されなければ申立ては不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件の決定…
事件番号: 昭和31(し)46 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用され、その期間は3日である。期間経過後の不適法な異議申立てについては、自己等の責めに帰することのできない事由がある場合、上訴権回復の手続を併用すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事訴訟法386条1項に…