在監者が付審判請求事件についてされた抗告棄却決定に対し特別抗告申立書を差し出す場合と刑訴法三六六条一項の準用の有無(消極)
刑訴法366条1項,刑訴法362条1項,刑訴法433条
判旨
在監者が付審判請求事件の決定に対して特別抗告を申し立てる場合、刑事訴訟法366条1項(特則としての在監者主義)は準用ないし類推適用されない。したがって、抗告期間内に申立書を監獄官吏に提出しても、期間内に裁判所に受理されなければ申立ては不適法となる。
問題の所在(論点)
在監者が刑事訴訟法433条に基づき特別抗告を申し立てる際、同法366条1項(在監者主義)の適用または類推適用が認められ、監獄官吏への提出をもって期間内の申立てとみなすことができるか。
規範
在監者が上訴の申立てをする場合、期間内に申立書を監獄官吏に提出すれば期間内の申立てとみなす刑事訴訟法366条1項の規定は、付審判請求に関する決定に対する特別抗告(同法433条)には準用も類推適用もされない。申立ての適法性は、同法433条2項の定める5日の期間内に裁判所へ申立書が到達したか否かによって決する。
重要事実
申立人は、付審判請求事件の決定に対し、特別抗告を申し立てようとした。抗告期間の最終日である昭和54年7月24日に、申立人は在監者として本件申立書を監獄官吏(現在の刑務官等)に提出した。しかし、当該申立書が原裁判所に受理されたのは、期間経過後の翌7月25日であった。
あてはめ
刑事訴訟法366条1項は「上訴」に関する特則であり、付審判請求事件の決定に対する特別抗告にこれを適用する明文の規定はない。本件において、申立書が監獄官吏に渡されたのは期間内であったが、原裁判所に受理されたのは期間経過後である。在監者主義の類推適用が否定される以上、裁判所への受理日を基準とすべきであり、本件申立ては同法433条2項に定める5日の不変期間を経過した後にされたものと評価される。
事件番号: 昭和56(し)52 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の特別抗告において、在監者が上訴申立書を監獄の長又はその代理者に差し出した時に上訴の提起があったものとみなす刑事訴訟法366条1項(在監者特則)は、準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求事件の特別抗告を申し立てようとした在監者である。抗告期間の最終日である…
結論
本件抗告は期間経過後の申立てであり、不適法として棄却される。
実務上の射程
答案作成上は、在監者主義(366条1項)の適用範囲を問う問題として活用する。付審判請求の決定に対する抗告や、再審請求など、「上訴」とは性質を異にする手続については、原則として在監者主義の適用がないことを示す際の判例根拠となる。
事件番号: 昭和45(し)58 / 裁判年月日: 昭和45年9月4日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、付審判請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。 (注)同旨の第一小法廷決定がある(昭和四三年(し)第八五号、同年一一月一三日決定、裁判集一六九号三六七頁)。
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。
事件番号: 昭和43(し)85 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
事件番号: 昭和43(し)71 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。