在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
刑訴法第三六六条第一項はいわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し在監者が特別抗告申立書を差し出す場合に準用されるか
刑訴法366条1項,刑訴法262条1項,刑訴法433条
判旨
付審判請求の申立棄却決定に対する特別抗告において、刑事訴訟法366条1項の在監者特則は準用ないし類推適用されない。付審判請求は刑事処分を受けた本人の救済を直接の目的とするものではなく、本来の刑事被告事件の上訴とは性質を異にするためである。
問題の所在(論点)
付審判請求事件の申立棄却決定に対する特別抗告の申立てについて、刑法訴訟法366条1項(在監者の上訴申立に関する特則)が準用ないし類推適用されるか。
規範
刑事訴訟法366条1項の在監者特則は、刑事上の処分を受けた本人の救済を直接の目的とした手続に適用されるものであり、その性質を異にする手続には準用ないし類推適用されない。
重要事実
申立人は、付審判請求事件の申立棄却決定に対し、特別抗告を申し立てようとした。申立人は、抗告期間の最終日である昭和43年8月7日に本件申立書を刑務所の係官に手交したが、原裁判所がこれを受け付けたのは翌8月8日であり、法433条2項の定める5日の期間を経過していた。
事件番号: 昭和43(し)85 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
あてはめ
付審判請求手続は、検察官の不起訴処分に不服がある告訴人等が、事件を裁判所の審判に付することを請求する制度である。これは刑事上の処分を受けた本人の救済を直接の目的とするものではなく、被告人による本来の刑事被告事件の上訴申立てとはその性質を異にする。したがって、在監者特則の基礎となる「本人の救済」という趣旨は妥当せず、同法366条1項を準用・類推適用して刑務所官吏への手交時をもって申立時とみなすことはできない。
結論
本件申立ては期間経過後の申立てであり、不適法として棄却される。
実務上の射程
付審判請求に関連する不服申立ては、在監者が行う場合であっても、裁判所への到達基準(到達主義)が厳格に適用される。答案作成上は、在監者特則の適用範囲が「被告人の防御・救済」に直結する手続に限られることを説明する際の対比列挙として有用である。
事件番号: 昭和45(し)58 / 裁判年月日: 昭和45年9月4日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、付審判請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。 (注)同旨の第一小法廷決定がある(昭和四三年(し)第八五号、同年一一月一三日決定、裁判集一六九号三六七頁)。
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。
事件番号: 昭和45(し)99 / 裁判年月日: 昭和45年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の申立棄却決定に対する特別抗告において、在監者が抗告期間内に申立書を監獄の長等に差し出したとしても、刑事訴訟法366条1項のいわゆる在監者特則は準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:付審判請求を行った申立人は、その請求を棄却する決定を受けたため、特別抗告を申し立てようとした…
事件番号: 昭和56(し)52 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の特別抗告において、在監者が上訴申立書を監獄の長又はその代理者に差し出した時に上訴の提起があったものとみなす刑事訴訟法366条1項(在監者特則)は、準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求事件の特別抗告を申し立てようとした在監者である。抗告期間の最終日である…