判旨
付審判請求事件の申立棄却決定に対する特別抗告において、在監者が抗告期間内に申立書を監獄の長等に差し出したとしても、刑事訴訟法366条1項のいわゆる在監者特則は準用ないし類推適用されない。
問題の所在(論点)
付審判請求を棄却する決定に対する特別抗告(刑事訴訟法433条)において、在監者が申立書を監獄の長等に差し出した場合に期間内の申立とみなす「在監者特則」(同法366条1項)が準用ないし類推適用されるか。
規範
刑事訴訟法366条1項が定める在監者の上訴申立に関する特則(在監者特則)は、刑事上の処分を受けた本人の救済を直接の目的とする手続に適用されるものである。付審判請求事件は、検察官の不起訴処分に対する不服申立手続であり、本来の刑事被告事件の上訴とは性質を異にするため、同条項の準用または類推適用の余地はない。
重要事実
付審判請求を行った申立人は、その請求を棄却する決定を受けたため、特別抗告を申し立てようとした。申立人は抗告期間の最終日である昭和45年11月5日に、本件申立書を収容先の旭川刑務所の係官に手交した。しかし、当該申立書が原裁判所に到達し受け付けられたのは、期間経過後の同年11月6日であった。
あてはめ
付審判請求事件は、公務員職権濫用罪等の告訴・告発人が不起訴処分に不服がある場合に、裁判所の審判に付することを求める手続である。これは国家の訴追権行使の適正を期する趣旨であり、刑事上の処分を受けた被告人や被疑者の人権救済を直接の目的とする「本来の刑事被告事件」とは法的性質が明白に異なる。したがって、身体拘束下にある者の上訴権を保障する366条1項の趣旨は妥当せず、申立書が期間内に裁判所に到達していない以上、不適法な申立といわざるを得ない。
結論
付審判請求事件の特別抗告申立に刑訴法366条1項は適用されない。本件申立は期間徒過により不適法であり、棄却されるべきである。
事件番号: 昭和45(し)58 / 裁判年月日: 昭和45年9月4日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、付審判請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。 (注)同旨の第一小法廷決定がある(昭和四三年(し)第八五号、同年一一月一三日決定、裁判集一六九号三六七頁)。
実務上の射程
付審判請求における申立期間の遵守は、裁判所への到達基準(発信主義ではない)によることを明示したものである。在監者特則の適用範囲を「被告人・被疑者の救済手続」に限定する判例として、実務上重要である。
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。
事件番号: 昭和43(し)71 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
事件番号: 昭和56(し)52 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の特別抗告において、在監者が上訴申立書を監獄の長又はその代理者に差し出した時に上訴の提起があったものとみなす刑事訴訟法366条1項(在監者特則)は、準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求事件の特別抗告を申し立てようとした在監者である。抗告期間の最終日である…
事件番号: 昭和43(し)85 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。