判旨
刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用され、その期間は3日である。期間経過後の不適法な異議申立てについては、自己等の責めに帰することのできない事由がある場合、上訴権回復の手続を併用すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法386条1項による控訴棄却決定に対する異議申立ての期間、および期間経過後の救済手段としての手続的適法性が問題となる。
規範
刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立てについては、即時抗告に関する規定が準用され、その申立期間は3日(刑事訴訟法422条参照)である。また、当該期間を経過した後に不服を申し立てる場合には、自己又は代人の責めに帰することのできない事由によって期間内に申立てができなかったときに限り、上訴権回復の請求(同法362条、363条)と同時に異議の申立てを行うべきものと解される。
重要事実
抗告人は、刑事訴訟法386条1項に基づく控訴棄却決定に対し、異議申立てを行った。しかし、当該申立ては法に定める3日の期間を経過した後になされたものであった。原審はこの申立てを不適法として棄却したため、抗告人は憲法違反等を理由に特別抗告を申し立てた。なお、期間内に申立てができなかった理由が自己の責めに帰すべきでない事由にあたるかについての具体的詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
本件における異議申立ては、即時抗告の規定が準用される結果、3日の不変期間内に行われる必要がある。本件では、抗告人はこの期間を経過した後に申立てを行っており、形式的に不適法といえる。また、仮に期間を徒過したことに正当な理由(自己又は代人の責めに帰することのできない事由)があったとしても、法362条等に基づく上訴権回復の請求を同時に行っていない以上、本件異議申立てを適法なものとして受理することはできない。したがって、原決定が申立てを不適法とした判断は正当である。
結論
本件異議申立ては期間経過後になされた不適法なものであり、棄却を免れない。特別抗告を棄却する。
事件番号: 昭和29(し)61 / 裁判年月日: 昭和29年11月30日 / 結論: 棄却
抗告人は昭和二九年二月二七日山梨県東八代郡a村bの自宅において同月六日附で東京高裁第一刑事部のした控訴趣意書の所定期日内不提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けたが、これに対する刑訴三八六条二項に基く異議の申立書は同年三月一〇日附で同月一二日に東京高等裁判所に到達しているに過ぎない。右規定による異議の申立には即時抗告…
実務上の射程
控訴棄却決定(刑訴法386条1項)に対する異議申立ての期間制限を明確に示しており、実務上、期間徒過の際には必ず上訴権回復請求を併用しなければならないという手続的峻別を強調する際に用いる。
事件番号: 昭和31(し)44 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法定の申立期限を経過した後の控訴棄却決定に対する異議申立については、刑訴法362条等の上訴権回復請求の規定が準用される。したがって、期限後に異議を申し立てる場合には、所定の期間内に上訴権回復の請求をすると同時に異議の申立をしなければならない。 第1 事案の概要:大阪高等裁判所は、被告人の横領事件に…
事件番号: 昭和51(し)77 / 裁判年月日: 昭和51年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立期間(刑訴法433条2項)は、裁判の謄本が被告人本人と弁護人の双方に送達された場合、その先後に関わらず被告人本人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人および弁護人に対し、原決定の謄本が送達された。被告人に対する送達は昭和51年7月16日、弁護人に対する送達は同月…
事件番号: 昭和26(し)37 / 裁判年月日: 昭和26年7月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴棄却決定に対する異議申立は、法定の申立期間(3日)を経過した後になされた場合には不適法であり、当該期間の経過によって決定は確定する。そのため、確定した決定の前提となる手続の違憲性を争うことは、特別抗告の適法な理由とはなり得ない。 第1 事案の概要:東京高裁は、被告人Aに対し控訴趣意書の最終提出…
事件番号: 昭和46(し)23 / 裁判年月日: 昭和46年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出期間の最終日の通知が適法になされている場合、裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:本件における申立人は、控訴趣意書の差出期間の最終日の指定について、昭和46年1月24日に通知を受けた。申立人は、この指定や手続が憲法32条に違反すると主張して特別抗告を申…