判旨
法定の申立期限を経過した後の控訴棄却決定に対する異議申立については、刑訴法362条等の上訴権回復請求の規定が準用される。したがって、期限後に異議を申し立てる場合には、所定の期間内に上訴権回復の請求をすると同時に異議の申立をしなければならない。
問題の所在(論点)
控訴棄却決定に対する異議申立が法定期間を経過した後になされた場合、上訴権回復請求の規定が準用されるか。また、その場合の適法要件はいかなるものか。
規範
控訴棄却決定に対する異議申立(刑訴法385条2項、428条2項等)が法定の期間を経過した後になされた場合、刑訴法362条等の上訴権回復請求に関する規定を準用する。この場合、申立人は回復請求の原因となる事由が消滅した日から上訴提起期間に相当する期間内に、上訴権回復の請求と同時に上訴(本件では異議申立)をしなければならない(刑訴法363条)。
重要事実
大阪高等裁判所は、被告人の横領事件について昭和31年4月26日付で控訴棄却決定を下した。この決定に対する異議申立の法定期限は同年4月30日であったが、申立人が異議の申立をしたのは期限経過後の5月1日であった。その後、申立人弁護人は5月11日に上訴権回復請求の申立をしたが、原裁判所および異議審により理由なしとして棄却され、特別抗告審においても同請求を棄却する決定が確定した。
あてはめ
本件では、法定期限である4月30日を過ぎた5月1日に異議申立がなされている。このような期限後の申立については、刑訴法362条等が準用されるため、適法となるためには有効な上訴権回復請求が同時になされることを要する。しかし、本件でなされた上訴権回復請求は、一連の裁判手続き(原審、異議審、特別抗告審)を通じて「理由なし」として棄却されている。そうである以上、前提となる上訴権の回復が認められない以上、法定期間経過後になされた本件異議申立は不適法なものと言わざるを得ない。
結論
本件異議申立は、法定期間経過後になされた不適法なものであり、これを棄却した原決定は正当である。
事件番号: 昭和31(し)46 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用され、その期間は3日である。期間経過後の不適法な異議申立てについては、自己等の責めに帰することのできない事由がある場合、上訴権回復の手続を併用すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事訴訟法386条1項に…
実務上の射程
期間徒過後の異議申立救済について、実務上、上訴権回復請求の規定を準用することを明示した判例である。答案上は、期間徒過の事実がある場合に、直ちに不適法とせず、刑訴法362条等の準用による救済の可能性(およびその要件充足性)を検討する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和29(し)61 / 裁判年月日: 昭和29年11月30日 / 結論: 棄却
抗告人は昭和二九年二月二七日山梨県東八代郡a村bの自宅において同月六日附で東京高裁第一刑事部のした控訴趣意書の所定期日内不提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けたが、これに対する刑訴三八六条二項に基く異議の申立書は同年三月一〇日附で同月一二日に東京高等裁判所に到達しているに過ぎない。右規定による異議の申立には即時抗告…
事件番号: 昭和51(し)77 / 裁判年月日: 昭和51年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立期間(刑訴法433条2項)は、裁判の謄本が被告人本人と弁護人の双方に送達された場合、その先後に関わらず被告人本人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人および弁護人に対し、原決定の謄本が送達された。被告人に対する送達は昭和51年7月16日、弁護人に対する送達は同月…
事件番号: 昭和51(し)130 / 裁判年月日: 昭和54年5月1日 / 結論: 破棄差戻
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合に準用される。
事件番号: 昭和27(し)69 / 裁判年月日: 昭和28年12月26日 / 結論: 棄却
原決定が本件異議の申立を棄却したことには、何ら訴訟法違反の点はないから、所論はその前提を欠き採用することができない。(なお、記録によると本件異議の申立は法定の申立期間後に提出されたものであり、これと同時に異議権回復の請求がなされたとは認められないから(刑訴三六三条二項参照)、原決定が控訴趣意書提出の遅延事由につき「やむ…