抗告人は昭和二九年二月二七日山梨県東八代郡a村bの自宅において同月六日附で東京高裁第一刑事部のした控訴趣意書の所定期日内不提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けたが、これに対する刑訴三八六条二項に基く異議の申立書は同年三月一〇日附で同月一二日に東京高等裁判所に到達しているに過ぎない。右規定による異議の申立には即時抗告に関する規定が準用される結果同法四二二条によりその提起期間は三日であつて、その期間の経過により既に第一審判決及び控訴を棄却した決定は確定したものである。従つて、本件異議の申立は不適法として棄却すべきであつたのであり、原審が誤つてこれを適法として取り扱い異議申立を理由がないとして棄却したところで、その内容を憲法に違反するとして争うことは結局既に確定した第一、二審の裁判に対し法律の認めない方法で不服の申立をすることに帰し、特別抗告適法の理由にならない。
高等裁判所のした確定裁判(控訴棄却決定)に対する異議申立棄却決定とこれに対する特別抗告の適否
刑訴法422条,刑訴法386条,刑訴法385条2項
判旨
控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用される結果、告知を受けた日から3日以内(当時)に提起する必要があり、期間経過後は裁判が確定するため、内容の違憲を理由とする特別抗告は認められない。
問題の所在(論点)
刑訴法386条1項の控訴棄却決定に対する異議申立ての提起期間、及び期間経過後に提起された異議申立てを理由がないとして棄却した原決定に対し、憲法違反を理由とする特別抗告が可能か。
規範
刑訴法386条2項に基づく控訴棄却決定に対する異議の申立てには、即時抗告に関する規定(同法422条)が準用される。したがって、その提起期間は決定の告知を受けた日から3日以内であり、当該期間を経過した場合には、特段の上訴権回復の手続がなされない限り、第一審判決及び控訴棄却決定は確定する。
重要事実
事件番号: 昭和31(し)46 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用され、その期間は3日である。期間経過後の不適法な異議申立てについては、自己等の責めに帰することのできない事由がある場合、上訴権回復の手続を併用すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事訴訟法386条1項に…
抗告人は、昭和29年2月27日、控訴趣意書の未提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けた。これに対し、抗告人は同年3月10日付の書面をもって異議を申し立てたが、当該書面が裁判所に到達したのは同月12日であった。
あてはめ
本件における異議申立ての提起期間は、送達を受けた2月27日から3日以内である。しかし、実際の申立ては3月12日に到達しており、法定期間を著しく経過している。上訴権回復の申立てがなされた形跡もない以上、異議申立ては不適法であり、既に裁判は確定している。原審が不適法な申立てを誤って適法として扱い、実体的な理由がないとして棄却したとしても、確定済みの裁判に対して法律の認めない方法で不服を申し立てることは、特別抗告の理由にならない。
結論
本件特別抗告は、既に確定した裁判に対する不適法な不服申立てに帰するため、棄却を免れない。
実務上の射程
裁判の確定及び上訴期間の遵守という手続的要件の厳格性を示すものである。法定期間徒過後の救済は上訴権回復手続によるべきであり、それを欠いたまま実体判断の違憲を争うことはできないという実務上の鉄則を確認している。
事件番号: 昭和31(し)44 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法定の申立期限を経過した後の控訴棄却決定に対する異議申立については、刑訴法362条等の上訴権回復請求の規定が準用される。したがって、期限後に異議を申し立てる場合には、所定の期間内に上訴権回復の請求をすると同時に異議の申立をしなければならない。 第1 事案の概要:大阪高等裁判所は、被告人の横領事件に…
事件番号: 昭和26(し)37 / 裁判年月日: 昭和26年7月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴棄却決定に対する異議申立は、法定の申立期間(3日)を経過した後になされた場合には不適法であり、当該期間の経過によって決定は確定する。そのため、確定した決定の前提となる手続の違憲性を争うことは、特別抗告の適法な理由とはなり得ない。 第1 事案の概要:東京高裁は、被告人Aに対し控訴趣意書の最終提出…
事件番号: 昭和47(し)91 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、期限後に提出された理由の追加補充については、裁判所は判断を加える必要がない。 第1 事案の概要:抗告人が、憲法37条違反および判例違反を理由として特別抗告を提起した事案。抗告人は、抗告提起後、昭和47年11月15日付で特別抗告の理由の追加補充を提出したが、これは提出期限を過ぎたも…
事件番号: 昭和27(し)69 / 裁判年月日: 昭和28年12月26日 / 結論: 棄却
原決定が本件異議の申立を棄却したことには、何ら訴訟法違反の点はないから、所論はその前提を欠き採用することができない。(なお、記録によると本件異議の申立は法定の申立期間後に提出されたものであり、これと同時に異議権回復の請求がなされたとは認められないから(刑訴三六三条二項参照)、原決定が控訴趣意書提出の遅延事由につき「やむ…