判旨
控訴棄却決定に対する異議申立は、法定の申立期間(3日)を経過した後になされた場合には不適法であり、当該期間の経過によって決定は確定する。そのため、確定した決定の前提となる手続の違憲性を争うことは、特別抗告の適法な理由とはなり得ない。
問題の所在(論点)
法定の異議申立期間を経過した後に申し立てられた異議を棄却した決定に対し、前提となる手続の憲法違反を理由として特別抗告を申し立てることができるか。
規範
控訴棄却決定に対する異議申立(刑訴法386条2項、385条2項、428条2項)は、決定の告知を受けた日から3日以内(同422条)にしなければならない。この期間を徒過した場合には決定が確定するため、それ以前の手続上の瑕疵を争うことは許されない。
重要事実
東京高裁は、被告人Aに対し控訴趣意書の最終提出日を指定したが、提出がなかったため、昭和25年12月18日に控訴棄却の決定を行い、同月22日に被告人に送達した。これに対し、被告人の弁護人が異議申立を行ったのは、翌昭和26年1月10日であった。抗告人は、前提となる提出日の指定手続が不適法であり、憲法32条・37条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件における控訴棄却決定の送達は昭和25年12月22日であり、異議申立期間はそれから3日以内である。しかし、実際の申立は昭和26年1月10日であり、明らかに期間を経過している。この期間経過により、控訴棄却決定は既に確定しているといえる。確定した決定の前提となる「控訴趣意書最終提出日の指定」の適否や、それに伴う憲法違反を主張することは、前提を欠く議論であると解される。
結論
異議申立が期間徒過により棄却されたことは正当であり、前提手続の違憲をいう主張は特別抗告の適法な理由にならないため、本件抗告は棄却される。
事件番号: 昭和29(し)61 / 裁判年月日: 昭和29年11月30日 / 結論: 棄却
抗告人は昭和二九年二月二七日山梨県東八代郡a村bの自宅において同月六日附で東京高裁第一刑事部のした控訴趣意書の所定期日内不提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けたが、これに対する刑訴三八六条二項に基く異議の申立書は同年三月一〇日附で同月一二日に東京高等裁判所に到達しているに過ぎない。右規定による異議の申立には即時抗告…
実務上の射程
刑事訴訟における不服申立期間の遵守は厳格に求められる。法定期間を徒過した場合は手続が確定し、たとえ実体的な手続に違憲・違法の疑いがあったとしても、それを争う入口が閉ざされることを示す。答案上は、不服申立の適法性(門前払い事由)の検討において参照すべき基本的な判断枠組みである。
事件番号: 昭和31(し)46 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法386条1項の規定による控訴棄却決定に対する異議申立ては、即時抗告の規定が準用され、その期間は3日である。期間経過後の不適法な異議申立てについては、自己等の責めに帰することのできない事由がある場合、上訴権回復の手続を併用すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事訴訟法386条1項に…
事件番号: 昭和36(す)287 / 裁判年月日: 昭和36年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所の決定に対する抗告の提起期間は、被告人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、被告人本人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人に対し、高等裁判所がなした決定の謄本が昭和36年7月8日に送達された。その後、同年7月12日には弁護人に対しても同決定の謄本が送達され…
事件番号: 昭和26(し)57 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした控訴棄却の決定に対し、自己又は代人の責に帰することができない事由により所定の期間内に異議の申立をすることができなかつた場合には、上訴権の回復の規定の準用がある。
事件番号: 昭和28(し)67 / 裁判年月日: 昭和28年9月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の最終提出日直前に別罪で逮捕勾留されたために提出が遅れた場合であっても、刑訴法386条1項1号に基づく控訴棄却決定は、被告人の弁護権行使を不当に制限するものではなく、憲法13条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を提起したが、控訴趣意書の最終提出日の2日前に別罪により逮捕勾留…