判旨
高等裁判所の決定に対する抗告の提起期間は、被告人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、被告人本人に送達された時から進行を開始する。
問題の所在(論点)
被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合において、抗告の提起期間(刑事訴訟法上の法定期間)は、いずれの送達時を基準として進行を開始するか。
規範
裁判所がした決定に対する抗告の提起期間(刑事訴訟法422条、55条1項等参照)は、被告人本人に決定謄本が送達された時から進行を開始するものと解すべきである。弁護人への送達が別途行われたとしても、期間の起算点は被告人本人への送達時を基準とする。
重要事実
被告人に対し、高等裁判所がなした決定の謄本が昭和36年7月8日に送達された。その後、同年7月12日には弁護人に対しても同決定の謄本が送達された。被告人側は、同月15日に抗告を申し立てたが、法定の提起期間(5日)を徒過しているのではないかが問題となった。
あてはめ
本件において、原決定は昭和36年7月8日に被告人に送達されており、抗告の提起期間(5日)はこの時から進行する。弁護人への送達は同月12日であったが、起算点はあくまで被告人本人への送達時である7月8日となる。したがって、同月15日の抗告申立ては、7月8日から起算して5日の法定期間を経過した後のものであり、不適法な申立てといえる。
結論
被告人本人への送達時を基準とするため、本件抗告は期間経過後の申立てとして棄却される。
実務上の射程
刑事手続における不服申立期間の起算点に関する原則を示したものである。弁護人が独自に抗告権を有する場合(刑訴法355条等)であっても、期間の計算は被告人に対する通知を基準とする実務の運用を裏付ける判例であり、期間管理の重要性を示す場面で引用される。
事件番号: 昭和26(し)37 / 裁判年月日: 昭和26年7月6日 / 結論: 棄却
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【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人の双方に裁判書の謄本が送達された場合、特別抗告の提起期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と弁護人の双方に送達された。送達日は被告人が昭和46年4月9日、弁護人が同月12日であった。弁護人は、自身の受領日を…
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【結論(判旨の要点)】特別抗告の提起期間について、被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、その期間は被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人に対し昭和55年12月29日に、弁護人に対し昭和56年1月6日に、それぞれ原決定の謄本が送達された。本件特別抗告の申立ては、昭和56年1…