原決定が弁護人、被告人の双方に日を異にして送達された場合の特別抗告の起算日
刑訴法433条2項
判旨
特別抗告の提起期間について、被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、その期間は被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。
問題の所在(論点)
被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、刑訴法433条2項に定める5日の特別抗告提起期間の起算点はいつか。特に、弁護人への送達時まで起算点が猶予されるかが問題となる。
規範
決定に対する抗告期間(刑訴法433条2項、414条、373条参照)の起算点は、被告人と弁護人の双方に裁判書の謄本が送達された場合であっても、被告人本人に対する送達がなされた時を基準として進行を開始すると解する。
重要事実
被告人に対し昭和55年12月29日に、弁護人に対し昭和56年1月6日に、それぞれ原決定の謄本が送達された。本件特別抗告の申立ては、昭和56年1月8日になされた。
あてはめ
本件において、提起期間の起算点は被告人本人に送達された昭和55年12月29日となる。刑法55条3項本文に従い、送達の翌日から起算して5日の期間は、昭和56年1月5日(日曜日等の期間計算の特例を除き)限りで満了する。したがって、昭和56年1月8日になされた申立ては、期間経過後になされた不適法なものであるといえる。
事件番号: 昭和60(し)20 / 裁判年月日: 昭和60年3月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合における特別抗告の申立期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を始める。 第1 事案の概要:被告人に対し昭和60年2月16日に、弁護人に対し同月18日に、それぞれ原決定の謄本が送達された。これに対し、被告人側は同年2月22日に特別抗告の申立てを行…
結論
被告人本人への送達時を基準に期間を計算すべきであり、本件抗告申立ては期間経過により不適法として棄却される。
実務上の射程
裁判書(決定)の送達に基づく不服申立期間の計算に関する一般原則を示す。弁護人の固有の控訴権(41条、356条)等が存在する場合であっても、期間の起算点は被告人本人への送達時を基準とする実務慣行・判例法理を再確認するものである。答案上は、期間制限の遵守を論じる際の前提として簡潔に引用する。
事件番号: 昭和36(す)287 / 裁判年月日: 昭和36年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所の決定に対する抗告の提起期間は、被告人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、被告人本人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:被告人に対し、高等裁判所がなした決定の謄本が昭和36年7月8日に送達された。その後、同年7月12日には弁護人に対しても同決定の謄本が送達され…
事件番号: 昭和45(し)4 / 裁判年月日: 昭和45年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、特別抗告の提起期間は、被告人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:準抗告棄却決定の謄本について、被告人には昭和45年1月2日に送達され、弁護人には同月8日に送達された。その後、昭和45年1月13日に本件抗告(特別抗告)の申立てがな…
事件番号: 昭和57(し)72 / 裁判年月日: 昭和57年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護…
事件番号: 昭和43(し)83 / 裁判年月日: 昭和43年10月25日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。