判旨
被告人および弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、特別抗告の提起期間は、被告人に送達された時から進行を開始する。
問題の所在(論点)
被告人と弁護人の双方に裁判の謄本が送達された場合、刑事訴訟法433条2項の抗告申立期間は、いずれの送達時を基準として起算すべきか。
規範
刑事訴訟法433条2項に定める5日の抗告申立期間の起算点について、被告人と弁護人の双方に裁判の謄本が送達された場合には、先に送達を受けた被告人に対する送達時を基準として期間が進行する。
重要事実
準抗告棄却決定の謄本について、被告人には昭和45年1月2日に送達され、弁護人には同月8日に送達された。その後、昭和45年1月13日に本件抗告(特別抗告)の申立てがなされた。
あてはめ
本件において、被告人への送達は1月2日であり、弁護人への送達は1月8日である。本法理によれば、被告人に送達された1月2日から期間が進行するため、5日の期間は1月7日に満了する。したがって、1月13日になされた本件抗告の申立ては、期間経過後の不適法なものといえる。
結論
本件抗告は、法定の申立期間を経過した後になされた不適法なものであるため、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告だけでなく、一般の抗告(419条)や準抗告の期間計算においても同様の考え方が適用される。弁護人に独自の抗告権(356条)が認められている場合であっても、起算点は先行する送達を基準とするため、実務上の期限管理において極めて重要な指針となる。なお、被告人と弁護人で送達日が異なる場合、より早い時点を基準とするのが判例の確立した態度である。
事件番号: 昭和43(し)83 / 裁判年月日: 昭和43年10月25日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和45(し)24 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された時から進行をはじめる。
事件番号: 昭和46(し)28 / 裁判年月日: 昭和46年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人の双方に裁判書の謄本が送達された場合、特別抗告の提起期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と弁護人の双方に送達された。送達日は被告人が昭和46年4月9日、弁護人が同月12日であった。弁護人は、自身の受領日を…
事件番号: 昭和43(し)20 / 裁判年月日: 昭和43年6月19日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和43(し)95 / 裁判年月日: 昭和43年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の告知(送達)が被告人本人と弁護人の双方に対してなされた場合、抗告申立期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:弁護人Aが、即時抗告申立棄却決定に対して特別抗告を申し立てた事案。当該決定謄本は、被告人本人には昭和43年10月27日に、弁護人Aには同年10月2…