判旨
裁判の告知(送達)が被告人本人と弁護人の双方に対してなされた場合、抗告申立期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。
問題の所在(論点)
被告人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、刑訴法433条2項に定める5日の抗告申立期間は、いずれの送達時を基準として起算すべきか。
規範
刑事訴訟法上の抗告申立期間は、原則として裁判の告知を受けた時から進行する。裁判の告知として謄本の送達が被告人及び弁護人の双方になされた場合、その申立期間は、両者のうち最初に告知(送達)を受けた者を基準として起算される。
重要事実
弁護人Aが、即時抗告申立棄却決定に対して特別抗告を申し立てた事案。当該決定謄本は、被告人本人には昭和43年10月27日に、弁護人Aには同年10月28日にそれぞれ送達された。これに対し、弁護人Aが特別抗告の申し立てを行ったのは同年11月2日であった。
あてはめ
本件において、決定謄本の送達は被告人に対しては10月27日、弁護人に対しては10月28日になされている。規範に照らせば、期間の進行は先行する被告人本人への送達時(10月27日)から開始すると解される。この時点を起算日とすると、5日の申立期間は11月1日をもって満了する。したがって、同年11月2日になされた本件抗告申立は、期間経過後になされたものといえる。
結論
本件抗告は申立期間経過後になされた不適法なものであり、棄却を免れない。
実務上の射程
実務上、被告人と弁護人の双方に謄本が送達されるケースは多いが、不服申立期間の管理においては「早い方の送達日」を基準にしなければならないという鉄則を示すものである。特に弁護人が後から送達を受けた場合でも、被告人への先達により期間が進行し始める点に注意を要する。
事件番号: 昭和43(し)83 / 裁判年月日: 昭和43年10月25日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和45(し)24 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された時から進行をはじめる。
事件番号: 昭和58(し)97 / 裁判年月日: 昭和58年10月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の提起期間は、申立人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、先に送達を受けた者に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(抗告棄却決定等)に対して昭和58年10月6日に特別抗告の申し立てを行った。記録によれば、原決定の謄本は、申立人本人には同年9月3…
事件番号: 昭和45(し)4 / 裁判年月日: 昭和45年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、特別抗告の提起期間は、被告人に送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:準抗告棄却決定の謄本について、被告人には昭和45年1月2日に送達され、弁護人には同月8日に送達された。その後、昭和45年1月13日に本件抗告(特別抗告)の申立てがな…
事件番号: 昭和46(し)76 / 裁判年月日: 昭和46年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条2項に基づく特別抗告の申立期間(5日間)は、決定の謄本が被告人に送達された日から起算される。本件では、書留郵便による送達から5日を経過した後の申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人に対し、本件原決定の謄本が昭和46年7月23日に書留郵便に付される方法によって送…