刑の執行猶予言渡取消請求事件についての即時抗告棄却決定謄本が申立人本人と弁護人との双方に日を異にして送達された場合と特別抗告申立期間の起算日
刑訴法358条,刑訴法433条
判旨
特別抗告の提起期間は、申立人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、先に送達を受けた者に対して送達された時から進行を開始する。
問題の所在(論点)
申立人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合において、刑訴法433条2項が定める5日の抗告提起期間はいつから起算されるべきか。
規範
刑事訴訟法433条2項に定める5日の抗告提起期間は、申立人本人及び弁護人の双方に決定謄本が送達されるべき場合、いずれか先に送達を受けた者に対して送達された時から進行を開始する。
重要事実
申立人は、原決定(抗告棄却決定等)に対して昭和58年10月6日に特別抗告の申し立てを行った。記録によれば、原決定の謄本は、申立人本人には同年9月30日に、その弁護人には同年10月1日にそれぞれ送達されていた。
あてはめ
本件において、申立人本人への送達は9月30日であり、弁護人への送達(10月1日)よりも先行している。したがって、抗告期間は申立人本人に送達された9月30日から進行すると解される。この時点から起算すると、刑訴法433条2項の5日の期間は10月5日限りで満了するため、翌10月6日になされた本件申立は期間を経過しているといえる。
事件番号: 昭和55(し)83 / 裁判年月日: 昭和55年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告棄却決定が、執行猶予期間の経過前に申立人に告知されたときは、その時点で執行猶予取消の効果が発生する。したがって、その後特別抗告の提起期間中に執行猶予期間が経過したとしても、既になされた取消決定等の効力に影響を及ぼすものではない。 第1 事案の概要:申立人…
結論
本件抗告申立は、法定の提起期間を経過した後になされたものであり、不適法として棄却される。
実務上の射程
特別抗告のみならず、即時抗告等の期間制限がある不服申立て全般に共通する準則である。弁護人と被告人の双方に書類が送達される実務上、不服申立期間の管理は「早い方の送達日」を基準にすべきことを示す重要な判示である。
事件番号: 昭和47(し)57 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: その他
特別送達の方法により、執行猶予取消決定についての即時抗告棄却決定の謄本を、被請求人に送達する手続をとつたところ、それが執行猶予期間内に送達されなかつた場合において、右特別送達を付郵便送達とすることにより、有効に執行猶予が取り消されたものとすることはできない。
事件番号: 平成3(し)59 / 裁判年月日: 平成3年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法54条により準用される民事訴訟法上の付郵便送達の方法は、刑事手続における裁判書の送達についても適法に認められる。送達が適法になされた場合、その翌日から起算して特別抗告の提起期間を徒過した申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:本件において、原決定(下級審の決定)の謄本は、平成…
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…
事件番号: 昭和29(し)52 / 裁判年月日: 昭和29年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定に対しては即時抗告のみが許容され、即時抗告の提起期間経過後に通常の抗告を行うことはできない。 第1 事案の概要:被告人に対し刑の執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定がなされた。これに対し、不服申立人が即時抗告の提起期間(3日)を経過した後に、通常の抗告(または即…