原決定謄本の付郵便送達が適法とされ,特別抗告の申立てが期間経過後のものとして不敵法とされた事例
刑訴法433条2項,刑訴法54条,民訴法172条
判旨
刑事訴訟法54条により準用される民事訴訟法上の付郵便送達の方法は、刑事手続における裁判書の送達についても適法に認められる。送達が適法になされた場合、その翌日から起算して特別抗告の提起期間を徒過した申立ては不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟手続において、民事訴訟法の規定を準用した付郵便送達が適法か。また、付郵便送達がなされた場合における刑事訴訟法433条2項の特別抗告提起期間(5日間)の充足性の判断基準が問題となる。
規範
刑事訴訟法54条は、書類の送達について民事訴訟法に関する規定を準用している。これに基づき、受送達者の居所等が判明しない場合や受領拒絶等の事情がある場合には、民事訴訟法(当時の172条、現行107条)が定める付郵便送達の方法による送達が認められる。付郵便送達がなされた場合、発送の時に送達があったものとみなされ、不服申立期間の起算点となる。
重要事実
本件において、原決定(下級審の決定)の謄本は、平成3年5月10日に刑事訴訟法54条が準用する民事訴訟法172条(当時)所定の付郵便の方法により、申立人に対して送達された。これに対し、申立人が特別抗告の申立てを行ったのは、同年5月16日であった。
あてはめ
本件では、平成3年5月10日に付郵便送達が適法に完了している。刑訴法433条2項によれば、特別抗告の提起期間は5日以内である。5月10日に送達があったとみなされるため、不服申立期間はその翌日である5月11日から起算される。これに対し、本件の申立ては5月16日になされており、期間の末日である5月15日を徒過しているため、期間経過後の申立てに該当すると評価される。
事件番号: 昭和52(し)6 / 裁判年月日: 昭和52年3月4日 / 結論: 棄却
民訴法一七二条は刑事手続における書類の送達について準用される。
結論
本件特別抗告の申立ては、法定の提起期間経過後にされたものであり、不適法であるため棄却を免れない。
実務上の射程
刑事手続における送達の適法性と期間計算に関する基礎的な判断枠組みを示すものである。実務上、被告人や弁護人に対する書類送達が民訴法の準用により付郵便で行われる可能性を念頭に置き、不服申立期間の起算点を正確に把握するために参照される。特に、控訴・上告・抗告等の期間制限が厳格な手続において、送達の有効性が争点となる際の根拠となる。
事件番号: 昭和54(し)29 / 裁判年月日: 昭和54年3月29日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過したことは、すでに発生している執行猶予取消の効果に影響しない。
事件番号: 昭和54(し)110 / 裁判年月日: 昭和54年11月5日 / 結論: 棄却
決定裁判所を構成する裁判官の表示を欠く決定謄本は、刑訴規則五七条一項に違反するが、右のような謄本であつても、裁判を受ける者の氏名、決定の主文、その理由及び決定裁判所が東京高裁第六刑事部であることが明示されており、決定の名宛人において、右決定が自己がさきに抗告をした東京高等裁判所の第六刑事部においてなされたものであること…
事件番号: 昭和58(し)97 / 裁判年月日: 昭和58年10月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の提起期間は、申立人本人と弁護人の双方に決定謄本が送達された場合、先に送達を受けた者に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(抗告棄却決定等)に対して昭和58年10月6日に特別抗告の申し立てを行った。記録によれば、原決定の謄本は、申立人本人には同年9月3…
事件番号: 昭和28(し)28 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告は、刑事訴訟法405条に規定する事由がある場合に限り認められ、単なる法律解釈の争いは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事訴訟法349条(刑の執行猶予の言渡しの取消しの手続)の解釈を巡り不服を申し立て、最高裁判所に対し特別抗告を行った事案。抗告人は主張の中で憲法違反…