判旨
最高裁判所への特別抗告は、刑事訴訟法405条に規定する事由がある場合に限り認められ、単なる法律解釈の争いは不適法である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条が定める特別抗告の事由の存否。特に、実質的に法令解釈の争いである主張が、憲法違反を名目とすることで適法な抗告理由となり得るか。
規範
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)は、刑事訴訟法405条が規定する憲法違反または判例違反の事由がある場合にのみ特に許容される。単なる法令解釈(刑事訴訟法349条等)の不服申し立ては、憲法違反を形式的に主張するものであっても、実質的に同条の事由に該当しない限り認められない。
重要事実
抗告人が、刑事訴訟法349条(刑の執行猶予の言渡しの取消しの手続)の解釈を巡り不服を申し立て、最高裁判所に対し特別抗告を行った事案。抗告人は主張の中で憲法違反を主張していたが、その内容は同条の解釈の正当性を争うものであった。
あてはめ
本件抗告理由は憲法違反を主張の形式としているが、その実質的内容を検討すると、刑事訴訟法349条の解釈の当否を争うものに過ぎない。したがって、刑事訴訟法405条が限定的に列挙する憲法違反または判例違反という特段の事由には当たらないと評価される。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
特別抗告の申立事由が限定的であることを確認する裁判例である。答案上では、最高裁への不服申立てが形式的な憲法主張のみでは足りず、実質的な憲法判断や判例抵触を要することを示す際に参照される。
事件番号: 昭和48(し)7 / 裁判年月日: 昭和48年2月28日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予の判決に対し被告人のみが控訴し、この控訴申立期間経過後で同判決の確定前に、被告人に対する別件被告事件について禁錮刑(実刑)の裁判が確定した場合は、右刑の執行猶予の判決の確定をまつて刑法二六条三号により刑の執行猶予の言渡を取り消すことができる。
事件番号: 昭和49(し)77 / 裁判年月日: 昭和49年9月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告裁判所として下した決定に対しては再抗告が許されないため、刑事訴訟法428条に基づく異議の申立ては認められない。 第1 事案の概要:抗告人が、高等裁判所が抗告裁判所としてした決定に対し、具体的な憲法違反の主張を欠く特別抗告(刑事訴訟法433条)を申し立てた事案。その手続過程において、…
事件番号: 昭和28(し)101 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立人が、刑事訴訟規則274条に定める抗告の趣意を記載した書面の提出を怠った場合、裁判所は刑事訴訟法434条及び426条1項に基づき、決定で抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:刑執行猶予言渡取消請求事件において、東京高等裁判所が昭和28年12月15日に下した即時抗告棄却決定に対し…
事件番号: 昭和29(し)52 / 裁判年月日: 昭和29年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定に対しては即時抗告のみが許容され、即時抗告の提起期間経過後に通常の抗告を行うことはできない。 第1 事案の概要:被告人に対し刑の執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定がなされた。これに対し、不服申立人が即時抗告の提起期間(3日)を経過した後に、通常の抗告(または即…
事件番号: 昭和59(し)117 / 裁判年月日: 昭和59年12月18日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予の判決確定後に、同判決確定前に犯した他の罪につき禁錮以上の実刑に処する判決が確定したときは、右実刑判決が、未決勾留日数の裁定算入及び法定通算により、現実に刑の執行をなしうる余地がないものであつても、刑法二六条二号に該当する。