控訴趣意書差出最終日指定後に弁護人選任届が差し出された弁護人に右最終日を通知しないことと憲法三一条、三二条、三七条一項
憲法31条,憲法32条,憲法37条1項,刑訴法433条,刑訴規則236条1項
判旨
控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。
問題の所在(論点)
控訴趣意書差出最終日の指定・通知後に選任された弁護人に対し、再度通知を行わないことが、憲法31条(適正手続)、32条(裁判を受ける権利)、37条1項(弁護人依頼権)に違反するか。
規範
裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定して通知した後、新たに選任された弁護人に対して、重ねてその最終日を通知すべき法的義務はない。また、既になされた通知の効力は、その後に選任された弁護人にも及ぶと解するのが相当である。
重要事実
本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護人に対し、裁判所は改めて差出最終日の通知を行わなかった。抗告人は、この不告知が適正手続や裁判を受ける権利、弁護人の援助を受ける権利を保障する憲法各条項に違反すると主張して抗告した。
あてはめ
判例の趣旨(最高裁昭和25年4月21日大法廷決定等)に照らせば、裁判所が一度適法に差出最終日を指定・通知した以上、手続の安定性と迅速性の観点から、その後に選任された弁護人に対して個別に再通知を行う必要はないと判断される。被告人側の弁護人選任の時期により、既に進行している手続上の期限の効力が左右されるものではないといえる。
事件番号: 昭和57(し)46 / 裁判年月日: 昭和57年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、裁判所が改めて当該最終日を通知しなくても、憲法13条や32条には違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定した後、その指定の後に新たな弁護人が選任され、弁護人選任届が差し出された。裁判所は、この新…
結論
改めて最終日を通知しなくても憲法31条、32条、37条1項に違反しない。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
控訴審手続における期限遵守の厳格性を示す判例である。答案上では、弁護人の交代や追加選任があった場合に、既定の期間制限が維持される根拠として利用する。ただし、被告人の権利保護の観点から、実務上は記録閲覧の機会確保など実質的な防御権行使の可否が別途問題となり得る点に留意が必要である。
事件番号: 昭和50(し)62 / 裁判年月日: 昭和50年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はなく、これを通知しなかったとしても憲法13条、32条、37条に違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定し、その通知を行った。しかし、当該指定通知がなされた後に、新…
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
事件番号: 昭和27(し)90 / 裁判年月日: 昭和28年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】送達報告書により控訴趣意書提出最終日の通知書が適法に送達された事実が認められる場合、通知を受けていないことを前提とする憲法32条違反の主張は採用されない。 第1 事案の概要:申立人は、麻薬取締法違反等被告事件において、控訴趣意書の提出最終日の通知書を受け取っていないと主張し、裁判を受ける権利(憲法…
事件番号: 昭和37(し)35 / 裁判年月日: 昭和37年9月27日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二三六条の法意は、控訴趣意書差出最終日の通知は右最終日の指定後に弁護人選任届の提出された弁護人に対してこれをすることを要しない趣旨と解すべきである(昭和二五年(あ)二七七七号同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)