控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、同年九月二七日第一小法廷決定、裁判集一四四号六八三頁各参照−の示すところである。
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対する最終日通知の要否。
刑訴規則236条1項,刑訴法376条
判旨
控訴趣意書の提出最終日を指定して通知した後、新たに選任された弁護人に対しては、裁判所は改めて提出最終日の通知を行う義務を負わない。
問題の所在(論点)
控訴趣意書の提出最終日が指定された後に選任された弁護人に対し、裁判所は改めて当該期日を通知すべき義務を負うか(刑訴法376条1項、刑訴規則236条)。
規範
控訴審において、裁判所が刑訴規則236条に基づき控訴趣意書の提出最終日を指定し、当時の弁護人等へ通知した後は、その後に新たに選任された弁護人に対して重ねて提出最終日の通知を行う必要はない。
重要事実
本件において、裁判所は控訴趣意書の提出最終日を指定し通知した。しかし、その指定通知がなされた後に、新たに弁護人選任届が提出された。新弁護人は自分に対して改めて提出最終日の通知がなされなかったことを不服として、憲法37条1項(弁護権の保障)等に違反すると主張し、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和30(し)1 / 裁判年月日: 昭和30年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出最終日を弁護人に通知すべき義務は、当該最終日の指定当時において既に選任されている弁護人に対してのみ認められる。したがって、指定後に選任届が提出された弁護人に対しては、裁判所は改めて最終日の通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を申し立てたが、裁判所が控訴趣意書の提出…
あてはめ
最高裁判所の累次の判例によれば、訴訟手続の迅速かつ円滑な進行を図る観点から、適法になされた期日指定の効力は後任の弁護人にも及ぶと解される。したがって、提出最終日の指定後に選任された弁護人に対し、個別に再度の通知を要しないことは訴訟法上の確立した解釈であり、これを行わなかったとしても弁護権の不当な侵害や憲法違反には当たらない。
結論
裁判所は、提出最終日の指定後に選任された弁護人に対し、改めて通知を行う必要はない。したがって、本件の特別抗告は棄却される。
実務上の射程
控訴審の準備期間に関する実務上の取扱いを確定させた判例である。答案上は、弁護人の交代があった場合の訴訟手続の適法性を論じる際、既になされた通知の効力が後任者に及ぶ根拠として引用できる。ただし、被告人の防御権を実質的に侵害するような極端な事情がある場合には、別途検討の余地がある点に留意が必要である。
事件番号: 昭和50(し)62 / 裁判年月日: 昭和50年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はなく、これを通知しなかったとしても憲法13条、32条、37条に違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定し、その通知を行った。しかし、当該指定通知がなされた後に、新…
事件番号: 昭和36(し)46 / 裁判年月日: 昭和36年11月14日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選出届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通知を要しない、とした原判示は相当である。(昭和二五年(あ)二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)
事件番号: 昭和45(し)5 / 裁判年月日: 昭和45年2月13日 / 結論: 棄却
控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反しない。
事件番号: 昭和30(し)46 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日の通知を弁護人に対しても行うべきとする刑訴規則236条1項は、通知の発送時点で既に弁護人選任届が提出されている場合に適用される。したがって、通知発送後に選任された弁護人に対して重ねて通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:控訴審裁判所は、昭和30年5月30日に上訴記録の送付…