控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反しない。
控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人にあらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとした原決定の合憲性
憲法32条,憲法13条,刑訴法386条,刑訴法376条,刑訴規則236条
判旨
控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて最終日を通知しなかったことは違法ではない。また、弁護人の過失等により最終日を徒過したとしても、被告人側の責に帰すべき事由がある場合には、裁判を受ける権利を侵害せず合憲である。
問題の所在(論点)
控訴趣意書の差出最終日指定後に選任された弁護人に対し、裁判所は改めて期限を通知すべき義務を負うか。また、弁護人の過失等による期限徒過を理由とした控訴棄却が、憲法32条、13条に違反しないか。
規範
控訴趣意書の差出最終日指定後に選任された弁護人に対する再通知の要否については、特段の義務を課す規定はなく、通知がなされなくとも違法ではない。また、被告人(弁護人を含む)側の責に帰すべき事由により期限を徒過した結果として控訴棄却等の不利益を被ることは、裁判を受ける権利(憲法32条)や適正手続きの保障(13条、31条等)に反しない。
重要事実
控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定した後に、新たに弁護人が選任された。裁判所は、新たに選任された弁護人に対して、改めて差出最終日の通知を行わなかった。その後、被告人側が指定された最終日を徒過して控訴趣意書を差し出したため、控訴棄却の決定がなされた。これに対し被告人側が、再通知がなされなかったことの違法性や憲法違反を主張して異議申し立てを行った事案である。
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
あてはめ
まず、裁判所が既に適法な最終日指定を行っている以上、その後に選任された弁護人に対し改めて個別に通知する義務はない。次に、弁護人の過失の有無を問わず、申立人側の責に帰すべき事由により期限を徒過した場合には、上訴権回復の請求権は認められない。本件においても、最終日指定の通知という適正な手続きが先行して行われている以上、その後の弁護人選任に伴う再通知を欠いたとしても、被告人の裁判を受ける権利を実質的に奪ったとはいえない。
結論
再通知を怠ったことに違法はなく、期限徒過を理由とする控訴棄却の決定および異議申立の棄却は合憲である。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
控訴趣意書提出期限の遵守責任は、弁護人選任の有無や時期にかかわらず被告人側に帰属することを確認した判例である。実務上、弁護人交代や追加選任があった場合でも、既に指定された期限は当然に維持されるため、弁護人は自ら記録を確認して期限を把握すべき義務があることを示す。答案上では、被告人側の帰責事由と裁判を受ける権利の調整において、手続の安定性を重視する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(し)1 / 裁判年月日: 昭和30年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出最終日を弁護人に通知すべき義務は、当該最終日の指定当時において既に選任されている弁護人に対してのみ認められる。したがって、指定後に選任届が提出された弁護人に対しては、裁判所は改めて最終日の通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を申し立てたが、裁判所が控訴趣意書の提出…
事件番号: 昭和50(し)62 / 裁判年月日: 昭和50年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はなく、これを通知しなかったとしても憲法13条、32条、37条に違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定し、その通知を行った。しかし、当該指定通知がなされた後に、新…
事件番号: 昭和45(し)51 / 裁判年月日: 昭和45年9月24日 / 結論: 棄却
原審弁護人でない弁護士名義の控訴申立書のみが控訴提起期間最終日に原裁判所へ差し出された場合、その控訴申立は無権限者のしたものとして不適法であり、その翌日同弁護士を弁護人に選任する旨の届出が追加提出されたとしても、これにより右不適法な控訴申立が適法有効となるものではない。
事件番号: 昭和25(し)27 / 裁判年月日: 昭和26年2月9日 / 結論: 棄却
強制弁護の事件につき、裁判所が被告人に対し、弁護人を選任することができること、貧困その他の事由によつて弁護人を選任することができないときは、弁護人の選任を請求することができるとの記載のある弁護人選任に関する通知を出したのに対し、被告人から自分の方で弁護人甲を選任する旨を回答があつた場合には、控訴裁判所は被告人に対し、控…