控訴趣意書差出最終日の指定後に選任された弁護人に対する最終日の通知と憲法一三条、三二条、三七条
刑訴規則236条
判旨
控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はなく、これを通知しなかったとしても憲法13条、32条、37条に違反しない。
問題の所在(論点)
控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、裁判所があらためて当該最終日を通知しなかったことが、被告人の裁判を受ける権利(憲法32条)や弁護人の援助を受ける権利(憲法37条3項)等に違反するか。
規範
控訴趣意書の差出最終日の指定およびその通知は、被告人または通知時に選任されている弁護人に対して適切になされていれば足りる。その通知後に新たに選任された弁護人に対して、裁判所が重ねて最終日の通知を行う義務はない。
重要事実
控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定し、その通知を行った。しかし、当該指定通知がなされた後に、新たな弁護人が選任され弁護人選任届が提出された。裁判所はこの新任弁護人に対して改めて最終日の通知を行わなかったところ、控訴趣意書が期限内に提出されなかったため、控訴棄却の決定がなされた。これに対し、新任弁護人への通知欠如は違憲であるとして異議申し立てがなされた事案である。
あてはめ
判例の趣旨に照らせば、控訴趣意書の提出期限は手続の円滑な進行のために定められるものであり、一度適法に通知がなされた以上、その後に選任された弁護人は自ら訴訟記録を確認するなどして期限を把握すべき責任を負う。本件においても、当初の指定・通知が適法に行われている以上、新任弁護人に重ねて通知を行わない運用は、被告人の防御権を不当に侵害するものとはいえず、憲法13条、32条、37条のいずれにも違反しないと解される。
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
結論
新任弁護人への再通知は不要であり、これを欠いたまま期限徒過を理由としてなされた控訴棄却決定は適法である。
実務上の射程
控訴審の手続構造において、裁判所の通知義務の範囲を限定する射程を持つ。答案上では、弁護人の交代や追加選任があった場合に、弁護人の職責として既定の期限を遵守すべきであることを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和30(し)1 / 裁判年月日: 昭和30年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出最終日を弁護人に通知すべき義務は、当該最終日の指定当時において既に選任されている弁護人に対してのみ認められる。したがって、指定後に選任届が提出された弁護人に対しては、裁判所は改めて最終日の通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を申し立てたが、裁判所が控訴趣意書の提出…
事件番号: 昭和45(し)5 / 裁判年月日: 昭和45年2月13日 / 結論: 棄却
控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反しない。
事件番号: 昭和57(し)72 / 裁判年月日: 昭和57年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護…
事件番号: 昭和40(し)53 / 裁判年月日: 昭和40年7月29日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二三六条の法意は、控訴趣意書差出最終日の通知は、右最終日の指定後に弁護人選任届の提出された弁護人に対してはこれをすることを要しない趣旨と解すべきである。(昭和二五年(あ)第二七七七号同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)