控訴趣意書差出最終日指定後に弁護人選任届が差し出された弁護人に右最終日を通知しないことと憲法一三条、三二条
憲法13条,憲法32条,刑訴法433条,刑訴規則236条1項
判旨
控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、裁判所が改めて当該最終日を通知しなくても、憲法13条や32条には違反しない。
問題の所在(論点)
刑訴法上、控訴趣意書の提出期限が定められている場合において、期限指定後に選任された弁護人に対しても改めて期限を通知する必要があるか。通知を欠くことが憲法13条、32条に違反しないかが問題となる。
規範
控訴趣意書の差出最終日の通知は、その時点で選任されている弁護人に対して行えば足り、指定後に新たに選任された弁護人に対して重ねて通知を行う義務はない。このような運用は、適正な裁判を受ける権利(憲法32条)や個人の尊厳(憲法13条)に抵触するものではない。
重要事実
控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定した後、その指定の後に新たな弁護人が選任され、弁護人選任届が差し出された。裁判所は、この新しく選任された弁護人に対しては、改めて差出最終日の通知を行わなかった。これに対し、被告人側は当該通知がないことは憲法違反であるとして抗告した。
あてはめ
判例(最大決昭25.4.21等)の趣旨に照らせば、裁判所が既に有効に差出最終日を指定・通知している以上、その後に選任された弁護人は、前任者や被告人に通知された内容を承継・確認すべき立場にある。したがって、新たな弁護人への個別通知を欠いたとしても、被告人の防御権を不当に制限するものとはいえず、適正手続に反するとは評価されない。
事件番号: 昭和57(し)72 / 裁判年月日: 昭和57年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護…
結論
控訴趣意書差出最終日の指定後に選任された弁護人に対し、改めて通知を行う必要はなく、通知を欠いた原決定に憲法違反の違法はない。本件抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟手続における期間制限と弁護権の保障の限界を示す。実務上、後任の弁護人は自ら記録を確認し、既定の提出期限を把握する責任を負う。答案上では、弁護人の交代があった際の裁判所の通知義務の範囲を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和57(し)137 / 裁判年月日: 昭和58年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】必要的弁護事件において、裁判所は、控訴申立をした第一審弁護人及び控訴趣意書差出最終日の指定後に選任された弁護人に対しては、当該最終日の通知を行うことを要しない。 第1 事案の概要:本件は、必要的弁護事件において、弁護人が控訴趣意書の差出最終日の通知がなされなかったことを不服として異議を申し立てた事…
事件番号: 昭和36(し)46 / 裁判年月日: 昭和36年11月14日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選出届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通知を要しない、とした原判示は相当である。(昭和二五年(あ)二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
事件番号: 昭和45(し)5 / 裁判年月日: 昭和45年2月13日 / 結論: 棄却
控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反しない。