必要的弁護事件において控訴申立をした第一審弁護人及び控訴趣意書差出最終日指定後に選任された弁護人に対する右最終日の通知の要否
刑訴規則236条
判旨
必要的弁護事件において、裁判所は、控訴申立をした第一審弁護人及び控訴趣意書差出最終日の指定後に選任された弁護人に対しては、当該最終日の通知を行うことを要しない。
問題の所在(論点)
必要的弁護事件において、第一審の弁護人または期限指定後に選任された弁護人に対しても、裁判所は控訴趣意書差出最終日の通知を行う義務を負うか。刑事訴訟規則236条及び適正手続(憲法31条等)の観点から問題となる。
規範
控訴趣意書の提出期限(差出最終日)の通知について、刑事訴訟規則236条の規定は、控訴趣意書の作成・提出の機会を保障する趣旨である。しかし、必要的弁護事件であっても、①既に控訴を申し立てた第一審弁護人、及び②期限指定の後に弁護人選任届を提出した弁護人に対しては、同通知を要しないものと解するのが相当である。
重要事実
本件は、必要的弁護事件において、弁護人が控訴趣意書の差出最終日の通知がなされなかったことを不服として異議を申し立てた事案である。本件の弁護人は、控訴を申し立てた第一審弁護人であったか、あるいは裁判所が差出最終日を指定した後に弁護人選任届を提出した者であった(判決文からは具体的な前後関係の詳細は不明だが、これら類型に該当する事実関係を前提としている)。原審は通知不要を理由に異議を棄却し、これに対し憲法31条、32条、37条3項違反を理由に特別抗告がなされた。
あてはめ
本件のような必要的弁護事件であっても、第一審から引き続き弁護にあたる者(控訴申立をした第一審弁護人)は、自ら控訴手続を開始しており、特段の通知がなくとも進行を了知し得る立場にある。また、期限指定後に選任された弁護人は、選任の時点で既に進行している訴訟手続を前提として職務を行うべきものであり、通知を欠いたとしても防御権の不当な制限には当たらない。したがって、原決定がこれらの者への通知を不要とした判断は正当であり、適正手続に反するものではない。
事件番号: 昭和57(し)46 / 裁判年月日: 昭和57年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、裁判所が改めて当該最終日を通知しなくても、憲法13条や32条には違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定した後、その指定の後に新たな弁護人が選任され、弁護人選任届が差し出された。裁判所は、この新…
結論
控訴趣意書差出最終日の通知は不要であり、異議申立てを棄却した原決定は相当である。本件抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法上の控訴手続(規則236条)の運用に関する判例である。答案上は、弁護人の防御権と迅速な裁判の要請の調和の観点から、通知対象者の限定を基礎づける際に活用する。特に、後任弁護人に対する通知の要否が問われる場面で、本判決の論理を援用できる。
事件番号: 昭和37(し)35 / 裁判年月日: 昭和37年9月27日 / 結論: 棄却
刑訴規則第二三六条の法意は、控訴趣意書差出最終日の通知は右最終日の指定後に弁護人選任届の提出された弁護人に対してこれをすることを要しない趣旨と解すべきである(昭和二五年(あ)二七七七号同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)
事件番号: 昭和57(し)72 / 裁判年月日: 昭和57年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護…
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
事件番号: 昭和30(し)1 / 裁判年月日: 昭和30年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出最終日を弁護人に通知すべき義務は、当該最終日の指定当時において既に選任されている弁護人に対してのみ認められる。したがって、指定後に選任届が提出された弁護人に対しては、裁判所は改めて最終日の通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を申し立てたが、裁判所が控訴趣意書の提出…