刑訴法三六六条一項は再審請求事件の特別抗告の申立に準用される。
再審請求事件の特別抗告申立と刑訴法三六六条一項の準用 刑訴規則二八三条の合憲性
刑訴法366条1項,刑訴法444条
判旨
再審請求において刑訴規則283条が原判決謄本等の添付を義務付けていることは、立法政策の問題として憲法32条に違反しない。また、再審請求事件の特別抗告の申立には、刑事訴訟法366条(在監者特則)が準用される。
問題の所在(論点)
1. 再審請求に際し、原判決の謄本等の添付を義務付ける刑訴規則283条は憲法32条に違反するか。 2. 再審請求事件の特別抗告の申立において、刑訴法366条(在監者特則)が準用され、監獄の長に差し出した時に期間内とみなされるか。
規範
1. 再審の請求方式として原判決の謄本等の添付を求める規定(刑訴規則283条)は、再審制度の目的・性格に即して定められるべき立法政策の問題であり、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反しない。 2. 再審が確定判決を受けた本人の救済を目的とする非常救済手続であることに鑑み、再審の請求及びその取下げについて刑訴法366条(在監者特則)を準用する同法444条の趣旨は、再審請求事件の特別抗告の申立にも及ぶと解するのが相当である。
重要事実
在監中の申立人が、再審請求の棄却決定に対し、特別抗告の申立書を抗告期間の最終日の2日前に監獄の長(府中刑務所長)に差し出した。しかし、当該申立書が原裁判所に到達したのは期間経過後であった。また、申立人は、再審請求時に原判決の謄本や証拠書類を添付していなかったため、方式違反として棄却されていたが、これが経済的余裕のない受刑者の再審の道を塞ぎ憲法32条に違反すると主張した。
事件番号: 昭和51(し)130 / 裁判年月日: 昭和54年5月1日 / 結論: 破棄差戻
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合に準用される。
あてはめ
1. 憲法32条の適否について、再審の具体的・手続的要件の策定は立法府の裁量に属する。謄本添付の要求は制度の円滑な運用のための合理的な制約であり、直ちに違憲とはいえない。 2. 在監者特則の準用について、刑訴法444条が再審請求等に366条を準用しているのは、本人の救済という非常救済手続の性質に基づく。この理は再審手続の一環である特別抗告の申立にも当てはまるため、所長への差し出しをもって適法な期間内の申立と解すべきである。
結論
1. 刑訴規則283条は合憲であり、方式不備による棄却は正当である。 2. 在監者特則の準用により、本件抗告は期間内に提起されたものとみなされるが、抗告理由は認められず棄却される。
実務上の射程
再審手続における実務上の重要判例である。特に在監者特則(刑訴法366条)の準用範囲を、明文のない再審の抗告手続にまで拡張した点は、被告人の権利保護の観点から重要である。また、謄本添付義務の合憲性を認める一方で、補足意見では経済的困窮者への救済の余地に言及しており、答案作成時には手続的保障と立法裁量のバランスを論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和46(し)17 / 裁判年月日: 昭和46年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件抗告は、原決定の憲法違反を主張するものであるが、刑訴応急措置法18条1項に規定される適法な抗告理由に該当しないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人が原決定の判断について憲法違反を主張して本件抗告を申し立てた事案。具体的な事案の内容や、原決定がどのような法的判断を下したかについ…
事件番号: 昭和58(し)126 / 裁判年月日: 昭和59年1月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条違反を主張しても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合や、刑訴法411条4号の事由を抽象的に主張するにすぎない場合は、同法433条の特別抗告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、憲法32条違反(裁判を受ける権利)を主張して特別抗告を申し立てた。しかし、そ…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…