マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は,それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある。
マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布するなどする行為が,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある場合
建物の区分所有等に関する法律6条1項,建物の区分所有等に関する法律57条
判旨
区分所有者による管理組合役員への誹謗中傷や工事業者への業務妨害が、単なる個人攻撃を超えて管理組合の業務遂行や運営を阻害し、マンションの正常な管理・使用を妨げる場合には、区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」に該当し得る。
問題の所在(論点)
マンションの管理運営を批判する区分所有者の言動(役員への誹謗中傷や工事業者への業務妨害)が、区分所有法6条1項の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当し、同法57条に基づく差止請求の対象となるか。
規範
建物の区分所有等に関する法律6条1項にいう「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するか否かは、当該行為がマンションの正常な管理又は使用を阻害するか否かによって判断すべきである。具体的には、管理組合の役員らに対する誹謗中傷や取引業者への業務妨害等の言動が、単なる特定の個人に対する攻撃の域を超え、それにより管理組合の業務遂行や運営に支障が生じている場合には、同項所定の行為に当たると解するのが相当である。なお、57条に基づく差止請求等の判断に際しては、少数者の言動の自由を不当に制約しないよう慎重な配慮を要する。
事件番号: 平成17(受)575 / 裁判年月日: 平成18年1月20日 / 結論: 棄却
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重要事実
区分所有者である被上告人は、管理組合役員が修繕積立金を恣意的に運用している等の誹謗中傷文書を配布・貼付したほか、マンションの防音・防水工事を受注した業者に対し工事辞退を求める電話をかける等の業務妨害行為(本件各行為)を繰り返した。これに対し、他の区分所有者全員のために指定された上告人が、本件各行為は共同の利益に反する行為(区分所有法6条1項)に当たるとして、同法57条に基づき行為の差止めを求めて提訴した。
あてはめ
被上告人の行為は、集会で正当に決議された防音工事等の円滑な進行を妨げ、また役員のなり手不足を招くなど、管理組合の運営を困難にする事態を生じさせていると主張されている。原審は、これらの行為が騒音・振動等の物理的な管理・使用に関わるものではないとして直ちに請求を棄却したが、本件各行為の内容が単なる個人攻撃に留まらず、管理組合の正常な業務遂行を阻害する実態があるならば、それはマンションの適正な管理を妨げるものとして「共同の利益に反する行為」に該当し得る。したがって、具体的な阻害の有無や程度を審理せずに同条の適用を否定することはできない。
結論
被上告人の行為がマンションの正常な管理運営を阻害しているか否かを審理させるため、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
物理的な侵害行為(不当な改築等)に限らず、管理組合の運営を麻痺させるような「言論による妨害」も区分所有法上の差止請求の対象になり得ることを示した。答案上は、57条請求の要件検討において、少数者の表現の自由への配慮に言及しつつ、運営阻害の具体的事実(役員の辞退、工事の中断等)を指摘して「共同の利益に反する」と認定する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和60(オ)1274 / 裁判年月日: 平成元年12月21日 / 結論: 破棄自判
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